2000 Fiscal Year Annual Research Report
ホッグ、ロックハート・ウィルソンと初期『ブラックウッズ・マガジン』
Project/Area Number |
11610483
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 和久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10108102)
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Keywords | スコットランド啓蒙主義 / パロディ / 自己劇化 |
Research Abstract |
(1)『ブラックウッズ・マガジン』の初期ナンバーにおける、主として筆禍事件の結果としての、記事の異同についての調査は、イギリスおよび日本国内に収蔵されている諸版の照合により、かなりの程度まで確定することができた。(2)このマガジンのトーリー主義の論調にテーマ的なアプローチを試みる点については、スコットランド啓蒙主義運動の遺産という視点から自然科学に関連するディスコースに注目する方針を定めたが、さらに的を絞るためにデータベース化された資料の調査を行った結果、本研究では「光学」に着目することにより、興味深い知見が得られるのはないかとの見通しが得られた。(3)ホッグ、ロックハート、ウィルソンのこの雑誌に対する貢献としては、連載架空座談会である『アムブローズ館夜話』の分析に着手しているが、匿名の執筆者を特定することは事実上不可能であり-19世紀刊行の雑誌についてのもっとも信頼すべき『ウェルズレー・インデックス』は1824年以降の記事についてしか利用できない-ウィルソンを筆者と考える通説の吟味とともに、それを妥当とした場合の『夜話』に登場するこの三者のペルソナとしての各人物の特性の解読は来年度の課題となる。(4)この雑誌の当時のエディンバラ知識人、文壇における地位を見極めるためのこれまで注目されてこなかったローカルなジャーナリズムの調査は、『エディンバラ・スター』や『エディンバラ・イーヴニング・ニュース』といった対象の特定まで行えたが、具体的な解読にはいたっていない。これも来年度の課題となる。
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