1999 Fiscal Year Annual Research Report
1960年代以降の現代アメリカ演劇についての比較文化的研究
Project/Area Number |
11610484
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内野 儀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40168711)
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Keywords | アメリカ / 演劇 / 比較文化 / パフォーマンス / 身体 / 前衛演劇 / アクティヴィズム / 戯曲研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1960年代以降の現代アメリカ演劇の諸相を比較文化的に4年間の期間で明らかにすることにある。初年度に当たる平成11年度は、主として基礎資料の収集を行なった。今年度については、交付申請書で述べたように、研究の主眼は指導的立場にあるニューヨーク大学のリチャード・シェクナー教授とウイスコンシン大学のハーバート・ブラウ教授の2名と密なコンタクトを取りながら資料収集の方向性を定めることにあった。そのプロセスで、わが国の図書館等にある資料では、この研究を推進していくのはむずかしいと考え、設備・備品とともに消耗品として予定以上に大量の図書・雑誌類を購入する必要が生じた。その内容は主として近年、資料の出版が盛んになった60年代以降のアメリカの諸芸術ジャンルにまつわるもので、比較文化的な視野をこの研究に持ち込む前に、まず当該アメリカの研究資料の収集に今年度の予算のほとんどを費やすことになった。その資料収集・整理の過程で明らかになったことは、同時代のアメリカ演劇についての研究を進める上でのヨーロッパ芸術史との複雑な関係を解明する必要性である。基本的には1920年代のいわゆる前衛芸術運動との関係を歴史的・比較文化的に検証しなければ、当該研究の目的を達成することはできないという感触を得たのが、今年度の研究の成果といえる。これまでの先行研究でも、20年代のいわゆる「歴史的アヴァンギャルド」と60年代アメリカの実験演劇については、理念上のつながりが指摘されてきたが、ドイツ・バウハウスのアメリカ的展開やジョン・ケージ等が活躍したノースキャロライナ州のブラック・マウンテン・カレッジにおける諸芸術実践における具体的な人々のつながりも、かなり重要な要素を構成していることがはっきりしてきたのである。来年度以降は、このヨーロッパとアメリカの関係性の検証にさらに時間を費やしたい。なお、今年度は当該研究者の本務校における役職のため、交付申請書で申請した海外渡航を果たすことができなかったが、その分、予想以上に充実した資料を収集できたことを報告しておきたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 内野 儀: "90年代戯曲文学のポストモダニティー「自常」と「生活者」から解放されるために"PT. 第8号. 16-21 (1999)
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[Publications] 内野 儀: "新しい戯曲の言葉は必要か"早稲田文学. 5月号. 40-43 (1999)
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[Publications] 内野 儀: "メディア,身体,アクティヴィズム―パフォーマンスアートとは何か?(1)"セゾン・アート・プログラム・ジャーナル. 第1号. 148-153 (1999)
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[Publications] 内野 儀: "メディア,身体,アクティヴィズム―パフォーマンスアートとは何か?(2)"セゾン・アート・プログラム・ジャーナル. 第2号. 144-150 (2000)
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[Publications] 内野 儀(共著): "Brecht Sourcebook"New York : Routledge. 451 (2000)