2000 Fiscal Year Annual Research Report
ジェームズー世期における「ヴァージニア会社」とその説教について
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11610489
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 正平 新潟大学, 法学部, 教授 (70075810)
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Keywords | ヴァージニア会社・植民 / 宗教 / 利益 |
Research Abstract |
平成11年度はヴァージニア会社及び植民関係の「公式文書」から見たヴァージニア会社の理想とその実体であったが、平成12年度の研究課題は「私的文書」からのヴァージニア会社実体の解明であった。ヴァージニア会社は単なる植民を目的とした事業ではなく、17世紀初頭の英国の政治・経済・宗教が関わった国の一大プロジェクトであった。しかしながら公式文書ではもっぱらヴァージニア会社の宗教的使命が強調され、冒険商人や一般の植民者の最大の関心事であった会社への投資及び植民事業参加からの見返りである「利益」については最小限の言及にとどまっている。公式文書では諸外国をも意識した理想的な植民論を展開していたが、それは会社・植民の現実からは遊離した植民論であったと言わざるをえない。それに反し、ヴァージニアからの私的な報告書、旅行記、書簡を見ると、一般人のヴァージニア会社・植民への関心の度合いがどこにあったかが容易に理解できる。今回の研究課題としてあげた私的なヴァージニア植民関連文書には植民の「宗教的使命」と「豊饒の地」ヴァージニアからの豊かな物資の調達及びその「利益」の確約が混合して、描かれている。公式文書では主として植民の「宗教性」が力説されていたが、私的な文書では「宗教性」と「商業性」が共に重視され、より現実的なヴァージニア会社・植民観が窺われ、ヴァージニア植民を取り巻く「公」と「民」との違いが垣間見られる。「公的」「私的」文書の他にさらにヴァージニア会社を擁護する一連の説教があった。今回はそれを十分に論じることができなかったが、最終年度ではヴァージニア会社擁護の説教をすべて取り上げ、宗教界からのヴァージニア会社・植民観を解明する予定である。
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Research Products
(1 results)