2001 Fiscal Year Annual Research Report
ジェームズ一世期における「ヴァージニア会社」とその説教について
Project/Area Number |
11610489
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 正平 新潟大学, 法学部, 教授 (70075810)
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Keywords | ヴァージニア会社 / 説教 / 予型論 |
Research Abstract |
私は過去2年間にわたってヴァージニア会社及び植民がいかに宗教とは無縁の商業的なものであったかを明らかにしてきた。平成13年度は本研究の最終年度にあたり、私はヴァージニア植民を擁護した一連の説教を取り上げ、いかに彼らが植民をとらえていたか、いかなる手法によって説教を行っていたかを明らかにした。これらの説教は1609年に集中したが、それらはすべて「福音の普及」を植民の第の目標としている。これらの説教の主題は、会社の公式宣言書と同様であるが、実際の植民の目的は「利益」であった。「福音の普及」をヴァージニア植民の主要な目的とした説教家達が取った説教方法は聖書の一部をヴァージニア植民に適応するものであった。聖書からイスラエル人が他国を植民とする箇所を取り上げ、それをヴァージニア植民に適応する方法である。最終年度研究の最大の課題はこの聖書の適応がいかなる考えに由来しているかであった。研究の結果以下のことが明らかになった。っまり聖書の適応は元々は聖書解釈の一つである予型論に由来している。予型論は「旧約聖書」と「新約聖書」の統一性を目指す解釈方法で、「新約聖書」に記されていることはすべて「旧約聖書」に予め示されていると考える。「旧約聖書」を予型、「新約聖書」を対型と解釈する。ところが17世紀ではこの予型論が世俗化され、本来ならば「旧約聖書」の対型を「新約聖書」に見出すべきだが、その対型を17世紀に見出したのである。このような予型論の世俗版がダンを始めとする説教家達の手法であり、彼らはヴァージニア植民を「旧約聖書」の対型としたのである。
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