1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610490
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
池内 正幸 津田塾大学, 学芸学部・英文学科, 教授 (20105381)
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Keywords | ミニマリスト・プログラム / 併合 / c統御 / 創発 |
Research Abstract |
ミニマリスト・プログラム(minimalist program)に拠る文法理論では構造の構築は基本的には併合(Merge)(および、一致(Agree)、移動(Move))によって行われる。この併合によって直接与えられる構造関係は、姉妹(sister)関係、(直接)包含((immediate)containment)であって、問題のc統御(c-command)の関係は併合によって直接もたらされることはない。c統御の関係は、構造の合成(composition)によって与えられる。つまり、姉妹(包含)(sister(contain)によっていわば二次的に与えられるのである。これは、複雑系の理論でいえば、c統御の関係はnarrow syntaxにおいて創発(emerge)したということができる。c統御の関係がnarrow syntaxにおいて構築・定義されるといっても、以上のような意味において構築されると考えることができる。換言すると、併合はc統御の関係構築を意図して構造を創るわけではないのである。そこに、c統御はnarrow syntaxにおいて定義されるにもかかわらずnarrow syntaxではほとんど使われない理由があると思われる。意図して創られた関係ではない、つまり、創発した構造関係であるから必要でなけれは使わねばならないということはないということであると思われる。これが、当初の研究目的の(1)に対する見通しである。LFの外側ではc統御(および、その他の構造的関係)がどのように使われるのかについては来年度の課題とする。
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