2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610493
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮内 弘 京都大学, 文学研究科, 教授 (90047407)
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Keywords | 韻 / ラーキン / イェイツ / 文体 / アイルランド / ヒーニー / 現代詩 / イギリス |
Research Abstract |
本年度は昨年にひき続き、ラーキンを中心にイェイツ、ヒーニーの詩作品の韻を詳細に分析し、詩のテーマと意味との相関関係を研究した。まずラーキンはさまざまな韻を駆使し、詩の意味の一部を韻の形態で表現することによって、詩的効果を高めている。またイェイツ、ヒーニーも伝統的なソネットの形式をかりながら、一方で押韻形式に独自の変化を加えることによって、新たな詩の意味を生み出そうと試みている。とりわけラーキンは韻の技巧的な使用法を通してこれまでに見られないような詩の意味と押韻形式の一体化をはかっていることに注目したい。例えば、家畜を囲い込むために牧場にはられたフェンスを主題にした詩では、円環を表わすabcd dcbaという押韻を用いたり、変化のないみじめな日常生活を描写した詩では、abab, cdcd, efef,..のような単調な押韻形式を用いている。また恋人同士の不信感や感情のギャップ、カップルの不釣り合いな関係を表す時には不完全韻を巧みに用いている。以上述べたような押韻形式と詩の意味の関係を論じた英語の論文"Rhyme Style : With Examples from Larkin, Yeats and Heaney" (「韻の文体-ラーキン、イェイツ、ヒーニー」)を来年度にPoeticaという雑誌に発表する予定である。 この論文を書くにあたって、夏休みを利用してイギリスのハル大学のブリンモア図書館とラーキン資料室を訪れて、ラーキンの未公開の草稿を調べたり、北アイルランドのベラヒにあるヒーニーの記念館を訪れて、ヒーニーに関する資料を収集した。
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Research Products
(1 results)