2000 Fiscal Year Annual Research Report
Mary Wrothが描いた女性の主体の構築の意味
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11610502
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
楠 明子 東京女子大学, 文理学部・英米文学科, 教授 (40104591)
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Keywords | 女性作家 / 英国ルネサンス / 英国ルネサンス演劇 / ジェンダー / 17世紀英国文化 / シェイクスピア / ジェイムズ朝 / シドニー家 |
Research Abstract |
本研究は英国史上初の女性作家であるLady Mary Wroth(1587(?)〜1651(?))が描いた女性の主体の構築が、英国ルネサンス期の英国および現代社会においてどのような文化的・社会的意味をもつかを探究するものである。今年度は主に以下の三分野を中心に研究を進展させた。 1.Wrothが描く女性の自己認識と当時の結婚観の相違を、同時代の男性作家が描く女性の自己認識と比較し、2000年8月にイギリスのストラットフォードで開催された第29回国際シェイクスピア学会のセミナー"Gender 2000"で発表した。さらに、2000年10月神戸松蔭女子大学で開かれた第39回日本シェイクスピア学会において、筆者が座長を務めたセミナーでこのテーマを議論した。このセミナーの内容は、筆者が共同編者となり、2001年秋に単行本として刊行される。 2.Wrothの描く女性の復讐者と、当時の復讐悲劇との関係を探究した。この研究は2001年4月、ヴァレンシアで開かれる第7回シェイクスピア・ワールド・コングレスで発表される。 3.Wrothと英国ルネサンス期における出版文化 英国ルネサンス期の文化は女性の創作・出版に対し根強い偏見があったのに対し、Wrothは自作を出版し、その結果、以後、事実上当時の社会からは足跡を消されてしまった。Wrothが社会のタブーを破ったことの社会的・文化的意味を、当時の出版文化との関係で探る。この研究は2001年5月に開かれる英文学会のシンポジウム「イギリス・ルネサンスにおける出版と文化」で発表される。 また、昨年度同様、夏は大英図書館およびWrothの実家Penshurst PlaceのArchivesで、日本で手に入らない第一資料を研究し、可能なものはマイクロフィルム・コピーに収録した。 (なお、2000年11月には東京女子大学で開催された第34回大学院英文学専攻課程協議会の基調講演:Lady Mary Wrothの作品からみたShekespeaceを行なった.)
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[Publications] 楠明子: "gender 2000:Female Selfhood and Thatricality in English Renaissance Drama"第29回International Shakespeace Conference (Straqnd,UK.)におけるセミナーgender2000で発表. 8月. (2000)
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[Publications] 楠明子: "結婚のディスコースと英国ルネサンス演劇"第39回日本シェイクスピア学会においてセミナー「結婚のディスコースと英国ルネサンス演劇」の座長および発表者. 10月. (2000)
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[Publications] 楠明子: "Lady Mary Wrothの作品からみたShakespeace:21世紀を向けた文学、文化批評の可能性」第34回大学院英文学課程研究発表会共調講演議"東京女子大学英米文学評論. 47巻. 31-46 (2001)
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[Publications] 楠明子: "A Book Review : Maids oua Mistreses,Cousins and Queens, eds, Susan Frye and Karen Robertson."英文学研究(英語版、日本英文学会刊). (予定)3月20日刊. (2001)
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[Publications] 楠明子: "『シェイクスピア辞典』高橋康也,豊志哲雄,大塚建治,村上淑郎編"研究社. 973 (2001)