2001 Fiscal Year Annual Research Report
Ancrene Wisse成立の問題を解明する全写本の系統図の作成
Project/Area Number |
11610509
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
和田 葉子 関西大学, 外国語・教育研究機構, 教授 (00123547)
|
Keywords | Ancrene Wisse / 写本 / 原作 / 中英語 / フランス語 / ラテン語 / 托鉢僧 / ドミニコ会 |
Research Abstract |
13世紀に書かれたと考えられるAncrene Wisse('a guide for recluses')の現存する中英語、フランス語、ラテン語による全部で17の写本に収録されているテキストの異同をコンピュータに入力する作業を続けながら、より正確な写本間の関係を調査した。 ドミニコ会に所属する人物がこの作品の成立と深く関わると思われる。そのさらなる証拠を求めるため、13-14世紀における修道院、修道会、托鉢僧についての資料を国内外で収集した。また、Ancrene Wisse は内容や書かれている英語の方言、そして、写本の中に残っている記録によって、恐らくイギリス中西部で成立したのではないかと考えられるので、この地域における当時の政治、宗教、文化的背景についての情報も収集するよう心がけた。特に、ケンブリッジ大学図書館には日本では入手が困難なものが多く所蔵されているのでたいへん有り難かった。コピーして持ち帰ったものは、A4に統一し分類した上でファイルにまとめ整理した。 平成13年の夏と14年の春は、主にロンドンの大英図書館とケンブリッジ図書館の写本室で写本の調査を行った。現地では前もって関係分野のイギリスの学者とアポイントメントをとり、研究について話し合える機会をもった。これは研究を進めてゆく上で、何よりの知的刺激となるからである。平成13年10月には日本中世英語英文学会・研究助成委員長として、古文書学のセミナーを関西大学で開催した際、海外から招いた中世英文学研究者と、有意義な意見交換及び討議をすることができた。 平成13年8月、イギリスで出版が決定しているA Companion to Ancrene Wisse の編集会議をイギリスで行った。また、国内で出版されるA Book of Ancrene Wisse はまもなく刊行される。
|
-
[Publications] 和田葉子: "Ancrene Wisse の読者/聴衆に関する一考察-Titus写本のテキストをめぐって"関西大学東西学術研究所 創立50周年記念論文集. 25-34 (2001)
-
[Publications] 和田葉子: "London, British Library, MS. Harley913におけるフォリオの元来の順序について"関西大学東西学術研究所 紀要. 35号(印刷中). (2002)
-
[Publications] 和田葉子: "A Book of Ancrene Wisse"関西大学出版部(印刷中). 210 (2002)
-
[Publications] Yoko Wada: "A Companion to Ancrene Wisse"Boydell & Brewer (Woodbridge, U.K.)(印刷中). 370 (2003)