2000 Fiscal Year Annual Research Report
慶應義塾大学および個人所蔵の中世フランス文学関係写本の総合的研究
Project/Area Number |
11610520
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原野 昇 広島大学, 文学部, 教授 (80069161)
|
Keywords | フランス文学 / 中世 / 文献学 |
Research Abstract |
平成11年度に実施した,日本フランス語フランス文学会の会員のうち,主として中世を専門にしている研究者に対するアンケート調査の結果に基づき,平成12年度には,大手前大学(西宮市)所蔵のフランス中世写本の調査を行った。同大学の大高順雄教授の案内で,同大学が購入した2点の写本について,購入の経緯,写本の来歴について説明を聞いた。それによると,2点のうち1点は,同大学購入後,大高教授によって,その所在が学界にも紹介されているが,残りの1点については,来歴のみならず,その写本に収録されている作品についても,詳しいことが分かっていないとのことであった。平成13年度において,引き続き調査し,解明を試みたいと思っている。 創価大学の福本直之教授からは,同氏所蔵の数点の断片写本についての情報が寄せられた。そのうちの1点は「聖女カテリナ伝」の一部であり,断片写本ではあるが,貴重な写本であることが判明した。他の数点の断片写本については,今のところ未解明である。平成13年度において,引き続き解明を試みる予定である。 平成10年度,11年度と継続して研究している,慶應義塾大学の高宮利行教授所蔵の『散文トリスタン』写本については,平成12年度も究明を続けた。特に,平成12年8月にフランスに行き,パリ第8大学名誉教授のピエール・イヴ=バデル教授の指導を受けた。同教授との共同研究の結果明らかになったことも多く,それらの研究成果をまとめて,国際学術雑誌Romaniaに,2人の共同執筆で原稿を投稿した。同誌の次号(2001年6月発行予定)に掲載されることになっている。
|