1999 Fiscal Year Annual Research Report
近代ドイツの啓蒙思想とドイツ語の発展-ライプニッツの『国語論』を中心にして--
Project/Area Number |
11610531
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
高田 博行 関西大学, 文学部, 教授 (80127331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 学 立教大学, 文学部, 教授 (00175126)
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Keywords | ライプニッツ / 啓蒙主義的言語観 / 言語育成 / ドイツ語史 / 言語政策 / 言語文化 |
Research Abstract |
ライプニッツの国語論に関する2次文献を,書籍及びコピー複写の形で収集し,ライプニッツの言説を跡づけた.より正確な理解が可能となるように,次の二名のドイツ人学者を日本へ招聘して,専門知識の供与とわれわれとの討論をお願いした:Armin Burkhardt 教授(ドイツ連邦共和国,Magdeburg大学)およびPeter Schmitter教授(ドイツ連邦共和国,Munster大学および大韓民国,韓国外国語大学). それにより次のような結果を得た:ライプニッツがそれまでの文法家と異なり新しいと言える点のひとつは,造語による言語改新だけでなく,伝統的な専門表現と方言の採用による言語再生も頭に入れていたことである.また,言語改良によって知識を広く知らしめ,蒙を開くという国民教育的な視点がより鮮明に前面へ出されている点も,ライプニッツを本質的に特徴づけていると言える.ただし他方で,語彙にしか興味を示さず,文法・統語論に対して目を開こうとしなかった点で,ライプニッツは他の文法家たちと比べて明らかな後退を見せている.この啓蒙主義的哲学者の書くドイツ語が,期待に反し明晰さを欠き複雑怪奇に映じてしまう面があるのは,このことの帰結である.ライプニッツは言語育成についての先人たちの考え方をより明確に集約し,一部新たにそれに深みを与えたが,ライプニッツのアピール文が人の目にとまり意義を持ちえたのは,他ならぬヨーロッパ第1級の思想家ライプニッツの筆から出たものであってこそだと,言うべきであろう.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 高田博行: "G.W.ライプニッツの言語文化論-学問語としてのドイツ語への道--"『独逸文学』 (関西大学独逸文学会). 44(印刷中). (2000)
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[Publications] 渡辺 学: "ドイツ語新正書法と言語学"『Aspekt』 (立教大学ドイツ文学科論集). 33(印刷中). (2000)
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[Publications] 渡辺 学: "K.G.Antonにおける語源研究の意味と語族の理解"『獨協大学ドイツ学研究』. 42. 147-152 (1999)
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[Publications] 高田博行: "18世紀のドイツ語文法の規範性と記述性--構文論と語順論に関する基礎的研究--"大阪外国語大学. 110 (1999)