1999 Fiscal Year Annual Research Report
ユングの錬金術心理学から見た『ファウスト』第二部の構造と意味
Project/Area Number |
11610535
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 紘一 九州大学, 文学部, 教授 (10036973)
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Keywords | ゲーテ / C.G.ユング / ファウスト / 錬金術 / 深層心理学 |
Research Abstract |
l、ゲーテの『ファウスト』、『親和力』、初期作品、自然科学に関する諸著を中心に錬金術・へルメス哲学の影響の痕跡と考えられる語彙、テクストを抽出して、俯瞰できる形にまとめた。 2、従来の研究書、『ファウスト』注釈書で、特に錬金術を問題にしている諸書、特にR.D.Gr ay:Goethe,the Alchemist(1952),E.Chr.Zimmermann:Das Weltbild des jungen Goehte(1969),N,Meshhadi:Die Einschatzung der Alchemie in Faust-Deutung(1979),Ulrich Gaier:Goethe Faust-Dichtungen(1999)における論述を詳細に比較検証し、その論点をまとめた。 3、C.G.ユングの最晩年の大著『結合の神秘』は、『心理学と錬金術』以来連綿と続けられた錬金術の深層心理学的研究の集大成であるが、その背景にある精神史的背景は過去二千年及び、極めて難解である。ユング自らが一種の『ファウスト』注釈書と称していこの大著の解読は本研究の課題である『ファウスト』第二部の錬金術心理学的な解釈にとって必須の前提である。それゆえその解読につとめ、その成果として『結合の神秘』第II部を翻訳出版した(注釈・索引付き)。 4、次年度において、本研究の課題である「ユングの錬金術心理学から見た『ファウスト』第二部の構造と意昧」に関し最終成果をまとめ公表する。
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