1999 Fiscal Year Annual Research Report
英語母語話者から見た日本人英語学習者によるエラーのコミュニケーション阻止度
Project/Area Number |
11610562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 里美 九州大学, 言語文化部, 助教授 (10284564)
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Keywords | 誤答分析 / 異文化コミュニケーション / 第二言語 / 学習者言語 / 母語話者評価 / 中間言語語用論 / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究は、発音・語彙・文法・ディスコースの4つのレベルにおいて日本人英語学習者が英語発話時に犯した「エラー(誤り)」に対し、英語母語話者がどのように反応・評価するかを探るものである。 上記の目的を達成する為に、まず、「依頼」・「陳謝」・「断わり」の計16の場面から、負担度の高い場面を各々の発話行為に対し3つ選択した。これらの場面において、日本人大学生と英語母語話者に英語でロール・プレイをしてもらい、学習者英語のデータを収集した。このデータ(トランスクリプトの形にしたもの)を、2人の言語学系専攻の英語母語話者(ひとりは国内在住、ひとりは国外在住)に提示し、発音・語彙・文法・ディスコースの各レべルにおいて、学習者エラーの分析をしてもらった。さらに、ディスコース・レべルにおける3要素(会話運用に必要な成句・ストラテジー・発話行為)に対しても分析を依頼した。この時点までに判明したことは以下の3点にまとめられる。 1. 発音のレべルでは、個々の「音」よりもイントネーションにおけるエラーが目立った。概して、日本人英語はモノトーンと言われているが、今回収集したデータにもイントネーションにおいて母語話者と顕著に違う例が多く見受けられた。 2. 4つのレべルの内、エラーが最も多かったのは発音であるが、エラーのコミユニケーション阻止度という観点からは、語彙におけるエラーが相手の意図を把握をする上で深刻であるということが、今年度の実験予備段階に参加した4人の英語母語話者に共通した私見であった。 3. ディスコース・レべルでは、全体として、会話運用に必要な成句が学習者英語には最も欠けていた。 平成12年度では、今年度の学習者エラー分析を基に、実験調査資料(7段階評価アンケート)を作成し、本格的な母語話者評価の実験を行う。特に上記第2点が科学的に実証されるかどうかが研究の焦点となるであろう。
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