2000 Fiscal Year Annual Research Report
英語母語話者から見た日本人英語学習者によるエラーのコミュニケーション阻止度
Project/Area Number |
11610562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 里美 九州大学, 大学院・言語文化研究院, 助教授 (10284564)
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Keywords | 誤答分析 / 異文化コミュニケーション / 第二言語 / 学習者言語 / 母語話者評価 / 中間言語語用論 / 英語教育 |
Research Abstract |
本研究は、発音・語彙・文法・ディスコースの4つのレベルにおいて日本人英語学習者が英語発話時に犯した「エラー(誤り)」に対し、英語母語話者がどのように反応・評価するかを探るものである。 今年度は、本研究者が、作年度の言語学専攻の英語母語話者による学習者エラー分析の結果を基に、発音・語彙・文法・ディスコースの各レベルにおいて、コミュニケーション阻止度が高いと判断されたエラーを3〜5個含んでいる学習者英語データ(英語母語話者とのロール・プレイ)を4つ選んだ。これを基に、英語母語話者から学習者英語に対する反応を引き出すためのアンケートの「パート1」(研究の第1段階用)を作成した。さらに、ディスコース・レベルにおける3要素(会話運用に必要な成句・ストラテジー・発話行為)についても同様の作業を繰り返し、2つの学習者英語データを選択し、同アンケートの「パート2」(研究の第2段階用)を作成した。アンケートの両パートとも、学習者エラー(単語・句・文・談話単位)は7段階スケールで評価された。 以上のアンケートを、米国ハワイ大学のアメリカ人大学生に実施した。さらに、カリフォルニア州の2大学のアメリカ人学生からもデータを収集した。 現段階ではデータ分析はまだ完全には終了していないが、これまでに把握できた全体的な傾向としては、対象となっている4レベルの内では、語彙とディスコース・レベルのエラーがコミュニケーションをかなり阻止する要因と考えられそうだ。また、ディスコース・レベルにおける3要素の中では、「会話運用に必要な成句」のエラーがコミュニケーションに深刻な影響を与えているように思われる。特に、この「会話運用に必要な成句」のエラーが重大な阻止要因と明確に判明した暁には、これまでの中間言語語用論研究の中心課題となってきた発話行為の研究の意義に大きな影響を与えることとなるであろう。
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