1999 Fiscal Year Annual Research Report
古王国時代エジプト聖刻文字法の研究(機械可読データベース化の試み)
Project/Area Number |
11610563
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
塚本 明廣 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (60037017)
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Keywords | ピラミッド・テキスト / 聖刻文字 / 文字論 / 古代エジプト語 / アフロ・アジア言語学 / データベース / sedスクリプト / バッチ・ファイル |
Research Abstract |
本年度(初年度)の研究成果は、以下のとおりである。 1 Setheの聖刻文字手書き本文を基礎テキストとして、独自の翻字方式に従って入力した。759章2291節からなる本文には、ウナス王版、ペピ一世版等の並行本文が存在する。本年度は、章数にしてその35%弱、節数にしてその15%強相当を入力した。 2 本研究の目的の一つに、これまで研究成果として得ているパピルス文書用翻字方式の汎用性のテストと、その翻字テキストから自動的に転写テキストへと変換するsedスクリプトの汎用性のテストとがある。現段階までは、小規模な修正(15回の改訂)により対応できたものの、今後楽観できる見通しはない。これまでに対応が完了した主な変更点、換言すれば中王国時代パピルス文書と異なるピラミッド・テキスト独特の用字法は、次のとおりである: (1)2語を跨ぐ音連続を1文字で表記する用法が数例ある:m n.j<[mn]j>。 (2)転移が多い:Htm<[tm]t[Htm]>,mnw HD<[mn][HD][nw]>,Htp dj nswt gb<[sw]tb[gb][Htp]{dj}>。 (3)古典語であれば補充される筈の鼻音の略記が多い:Sms<Ss[Sms]>。 3 ピラミッド・テキストの特徴の一つは、並行本文の存在である。判読不明の表語文字が、表音表記された並行本文により解明される。したがって、並行本文の比較対照は研究に益すること大である。この目的のために、本文を語毎、節毎に対照表示するバッチ・ファイルを作成した。 4 統語論的研究に関しては、雛形の構想に止まり、具体的用例に基づく検証は来年度以降に実施する。
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