2001 Fiscal Year Annual Research Report
音声言語の理解のメカニズムにおける音韻情報の役割の普遍性と個別性に関する研究
Project/Area Number |
11610566
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大竹 孝司 獨協大学, 外国語学部, 教授 (50203815)
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Keywords | 語い認識 / 音節構造 / 音韻情報 / プロソディー / モーラ / 心内辞書 / 無アクセント方言 / ピッチアクセント |
Research Abstract |
今回の研究では、過去の科研の研究成果を踏まえた上で,以下の3つの未解決のテーマについて研究を行った。 第1のテーマは、語彙認識のメカニズムにおけるプロソディの情報の役割に関するものである。過去の日本語のアクセント研究は、主にアクセント体系や方言の差異を記述することに主眼が置かれており、語彙認識の観点からその役割を検証したものは少ない。本研究では東京方言と無アクセント方言とされる熊本方言、栃木方言、茨城方言の各話者を対象に単語の語頭のアクセント情報と語彙認識の関係について検証を行なった。その結果、ピッチアクセント情報は、話者によって利用の仕方に程度の差は存在するものの語彙選択に関与することを明らかにした。 第2のテーマは、日本語の語彙に接近する際のモーラの役割を明らかにすると共に、語彙認識のメカニズムの普遍的な問題である「音素の活性化に基づく語彙選択」がモーラ言語である日本語においても観察されるか否かという問題を検証した。この問題は、語彙認識のメカニズムの普遍的モデルを構築する上で極めて重要な問題である。本研究では、日本語の言語遊戯である語呂合わせや駄酒落における音素の役割の分析、「語彙の再構築」と呼ばれる心理言語学的実験手法を通じて明らかにした。 第3のテーマは、心内辞書内における音韻表示の普遍性の問題である。これまで実施した研究では、モーラ言語とされる日本語話者の心内辞書においてモーラ以外の音韻単位である音節と音素の2つの単位に着目して、幼児、児童、成人、バイリンガル話者などを対象に検証を行った。その結果、音節構造内における音節とモーラの発達の順序は、音節からモーラへ移行する可能性を検証した。また、ローマ字の認識をする以前の段階で、日本語話者の児童は、音素認識が存在することを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大竹孝司, 今井良昌: "日本語を母語とする幼児の音節の下位構造の認識とその普遍性"音韻研究. 4. 81-88 (2001)
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[Publications] McQueen, J., Otake, T., Cutler, A.: "Rhythmic cues and possible-word constraints in Japanese speech segmentation"Journal of Memory and Language. 45-1. 102-132 (2001)
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[Publications] 大竹孝司, 山本圭子: "日英語モノリンガル話者と日英語バイリンガル話者によるメタ言語としての音韻単位の認識"音声研究. 5-1. 107-116 (2001)
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[Publications] Otake, T., Yamaguchi, Y.: "Japanese can be aware of syllables and morae : Evidence from Japanese-English bilingual children"Proceedings of the Sixth International Conference on Speech Communication and Technology. 1. 141-144 (2001)
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[Publications] Otake, T., Cutler, A.: "Recognitition of (Almost) spoken words : Evidence from word play in Japanese"Proceedings of the Sixth International Conference on Speech Communication and Technology. 2. 465-468 (2001)
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[Publications] Cutler, A., Otake, T.: "Rhythmic categories in spoken-word recognition"Journal of Memory and Language. 45. 1-27 (2002)