2001 Fiscal Year Annual Research Report
中国帰国者の言語使用調査研究(日本語習得と中国語維持をめざす言語教育の資料作成)
Project/Area Number |
11610569
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
友沢 昭江 桃山学院大学, 文学部, 助教授 (10149643)
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Keywords | 中国帰国者 / 二言語併用(バイリンガリズム) / 二言語読み書き能力(バイリテラシー) / 母語維持 / 文化理解 |
Research Abstract |
本学の「海外帰国生枠」で中国帰国生が平成12年度には三名、翌13年度には八名が入学した。そのうち日本語授業を履修した者(平成12年度は三名、13年度は七名)を対象として彼らの言語使用を調査した.話しことばについてはインタビューを行い(一人あたり一時間程度)、来日してからの教育歴について、また大学生活全般に渡る感想などについて話させた。また、中国と台湾からの留学生各一名と帰国生二名とで大学生活について話しをしてもらい、中国語を母語とする話者としての日本語能力を比較した。また日本語授業において提出されたレポートや作文、試験回答、さらには電子メールによるメッセージなどを材料に書きことばを収集し、以下のような知見を得た。 1 話す能力は全般に高い。特に個人的な内容は日本語母語話者と比較しても流暢さや現代的な言い回しや語彙使用などの面でも見劣りすることはない。しかし、大学での授業、特に、広い知識や文化背景を必要とされる一般教養科目について話す際には流暢さや内容の深い話が継続できないという面が見られた。留学生と比較すると、帰国生のほうが滞日年数が長い分、日常生活に関しては流暢さがあるものの、将来の進路や職業選択などやや専門的な内容の話や日本の政治経済状況などについては留学生の方が使用語彙の範囲が広く、また自国と対比して日本の状況などを述べる際にも、相対的に知識や情報が多く、説得力のある意見を述べた。 2 書くことについての特徴として、1)話しことばに使用される語彙が混同して使われることが多いこと、2)比較的長い文章は書けるが、中身がやや希薄で十分に議論が深められていないことなどが共通して見られた。3)中国や台湾からの留学生に比べて、助詞の誤用などは少ないが、漢語使用の頻度は低い。4)簡体字の混用は留学生に比べると少なく、漢字の読みについての正確さ(清濁音、促音、長音など)も高い。
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