2002 Fiscal Year Annual Research Report
中国帰国者の言語使用調査研究(日本語習得と中国語維持をめざす言語教育の資料作成)
Project/Area Number |
11610569
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
友沢 昭江 桃山学院大学, 文学部, 教授 (10149643)
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Keywords | 中国帰国者 / 二言語使用(バイリンガル) / 二言語読み書き能力(バイリテラシー) / 学力伸長 / 大学進学 / 日本語指導 / 母語維持 |
Research Abstract |
1 本学に在籍する中国人帰国生(12名)の日本語と中国語の言語資料の収集と分析を引き続き行った。 2 分析の一部を論文(「中国帰国生の大学における教育を考える」、『桃山学院大学総合研究所紀要』第28巻第2号、2002年12月)に発表した。 日本語:話す能力については各人30分程度のインタビュー(授業や大学生活般、社会状況について)を行った。書く能力については、大学の授業等で提出されたレポートや試験の答案などを収集した。 考察:発音や流暢さには個人差があるが、中国語語彙が会話に出てくる際に発音を日本語風にする、分かりやすく言い換える、語を付加するなど、両言語の違いを認識した上で理解を促進する方策を講じる傾向がある。書く能力については、助詞の誤用が話す時よりも頻出する。漢語については、漢字の字義の理解に止まり、概念の把握にまで至らない場合がある。漢字を共有する日中両言語のバイリンガルに特有の事例か。 中国語:話す能力については、中国人大学院生を聞き手としてインタビュー(トピックは調査者が設定した。家族や学生生活一般、時事問題など)を行った。書く能力については、中国の新聞の社会面の記事を選び、(1)大意を掴む、(2)用語を説明する、(3)自分の意見を述べることを、中国語で作文させた。データ分析は高い日中両言語能力を持つ中国人大学教授(日本在中)に依頼した。また日本中国語検定協会主催の中国語検定試験を受験させ、客観的な評価を行った。 考察:全員が不自由なく話せるが、高度な表現(慣用表現、接続詞、前後呼応)が使える者は少ない。日本語の(漢字)語彙を中国語発音にして使用する傾向が強い。中国語に最適の対訳がない場合、単語やセンテンス単位の日本語表現が混在する。婉曲的な言い回しが多用されるのは日本語の影響と思われる。日本語を書く時に中国語の簡体字使用は少ないが、中国語の作文には日本語の漢字が多く使われている。
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Research Products
(1 results)