2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610575
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 貞通 名古屋大学, 言語文化部, 教授 (80093011)
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Keywords | 環境文学 / エコロジー / 南方熊楠 / ジョン・ミューア / 里山 |
Research Abstract |
平成11、12年度に引き続き13年度も野性の自然と、農林漁業に関係する身近な自然について、文献資料による研究と現地視察を行い、有益な展望をえることができた。文献資料による研究は主としてジョン・ミューア、アルド・レオポルド、ゲーリー・ナブハン、南方熊楠および里山運動に関連して資料整理をした。原生自然の思想に関する視察は米国シエラ・ネバダ山脈、身近な自然に関する視察は愛知県知多半島や瀬戸市付近の里山を訪れた。一見野性的自然と見えるが長期にわたり人間が住み続け手入れをしてきた自然の例としてアリゾナ州南部ソノラ砂漠のババゴ・インディアン・リザヴェーションを訪問した。アメリカ南西砂漠の民族植物学者・ライターであるゲーリー・ナブハンとの交流は特に参考になった。 2001年6月、米国アリゾナ州フラッグスタッフで開かれたASLE大会で、研究成果を、特に身近な自然(里山)との関連で発表した。8月、名古屋大学公開講座において環境文学および里山の環境思想について解説した。10月には、静岡大学で開かれた中部英文学会大会において「東洋と西洋・二つの自然観をめぐって」と題するシンポジウムで、本研究のテーマに沿い、日米の環境思想の展開を対比的に示し発表した。原生自然尊重を志向するジョン・ミューアの環境思想、ディープ・エコロジー思想、第三世界のソーシャル・エコロジーの観点からの批判、日本の里山概念などの発展を理解するには、生態学的、社会的、精神的エコロジー、すなわち「三つのエコロジー」の視点を導入することが有益であることを示し得た。
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Research Products
(2 results)