1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11610577
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 崇 京都大学, 総合人間学部, 教授 (80065234)
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Keywords | イソップ / ロシア寓話 / クルィロフ / スマローコフ / ヘムニツエル / ムラヴィヨフ / オーゼロフ / ネレジンスキー・メレツキー |
Research Abstract |
平成11年度は「研究経過・方法」に示したとおり、おもにロシアにおけるイソップ受容を物語る一次資料の収集と分類・分析を行った。またロシアにおけるイソップ受容の先行研究を渉猟し参考になるものを収集した。 平成11年8月7日からおよそ2週間、ロシア科学アカデミーロシア文学研究所の正式の許可を得て同研究所を拠点に上記の作業を行った。先行研究によって、ロシアではギリシャ語から最初のイソップ訳は17世紀のごく初頭になされ、刊行されたと知られているが、短期間のため現存を確認できなかった。その後しばらく翻訳は途絶えたが、18世紀半ばからは、その後幾度も版を重ねた『イソップ寓話』(フランス語からの重訳)が出ており、それらはロシア文学研究所付属図書館およびロシア科学アカデミー図書館(いずれも在サンクト・ペテルブルグ)に所蔵されていた。それらのうち今後の研究に必要な部分を、科研費で購入したデジタルカメラで撮影したり(ロシア文学研究所所蔵分)マイクロフィッシュにして持ち帰った。とりわけ貴重な成果は、各寓話への教訓を訳者独自に創作した版で、底本と比較しながら比較分析する準備を進めている。 平成11年10月12日から17日まで、現在韓国釜山市にある私立大学の客員教授となっているロシア文学研究所主任研究員セルゲイ・キバリニク氏を招いて、18世紀ロシアが西欧から書物をとおして受けた文化的影響について、個別テーマについて氏の所見を質し、研究交流を行った。ロシア寓話の第一人者であるクルィロフだけでなく、18世紀の大勢の寓話作家たちについて、その翻訳の質についてまで明らかにすることができた。
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