2001 Fiscal Year Annual Research Report
カリブ海、および南北アメリカ大陸における「クレオール」の諸相と近代
Project/Area Number |
11610582
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
立花 英裕 早稲田大学, 法学部, 教授 (80207050)
|
Keywords | クレオール / ハイチ共和国 / ヴードゥー教 / プランテーション / フランス語圏 / ケベック / ルイジアナ州 / エドゥアール・グリッサン |
Research Abstract |
1.現地研究調査 今年度は3月にハイチ共和国,およびグアドループ島の現地研究調査を実施した。日程の大部分をハイチ調査に当てたが,車を用いて広範な地域を調査,ハイチ革命に関連した遺跡や土地,スペイン植民地時代の遺跡を訪問した。デジタルビデオなどで相当量の映像資料を作成した。また,作家,地方史研究家,ヴードゥー教の巫女など,多彩な人物と交流した。今回の調査で浮かび上がったのは、ハイチ革命におけるヴードゥー教の決定的な役割と,この抑圧されてきた宗教のクレオール的性格である。ハイチにおいても,近年,ヴードゥー教の再評価が進んでいるようである。グアドループ島では,奴隷解放運動指導者シュルシェールに関する資料収集,プランテーションの調査を主に行った。 2.理論的研究の,成果のまとめ (1)この一年間,毎月NHKテレビ・フランス語会話テキストに『フランス語圏の旅』を連載し,カナダ・ケベック州,米国ルイジアナ州,マルチニック島に関する研究を,一般向けではあるが,発表した。専門の研究者からの反響もあり,2002年度の4月に一橋大学の国際シンポジウム「文明の未来-混成か,純化か」においてハイチ関連のセッションに参加し,また,7月に日仏会館文化講座においてエドゥアール・グリッサン論を発表する予定である。 (2)本研究は,日本の近代化の性格を再検討する一視点を提供する目的ももっているが,副次的に,一定程度の日本研究を進め,クレオール研究の全体的視野を形成する一助とした。具体的には,12月に青山学院大学で開催された国際シンポジウム「東アジアとフランス」において「近代性の諸相-堀口大学と小林秀雄」(仏文テキスト)を発表した。 (3)クレオールは,新世界への移住者たちの言語・文化的出自によって複雑な諸相をみせるが、また一定の深い共通性にも貫かれている。いかにそれをまとめるかが今後の課題である。
|
Research Products
(2 results)