1999 Fiscal Year Annual Research Report
地方における国際化と家族間紛争処理をめぐる比較研究
Project/Area Number |
11620004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南方 暁 新潟大学, 法学部, 教授 (70125805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國谷 知史 新潟大学, 法学部, 教授 (90234468)
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Keywords | 地域社会 / 国際化 / 国際家族 / 国際結婚 / 国際離婚 / 紛争処理手続 / 援助システム |
Research Abstract |
〔1〕日本国内における論点の研究:日本国内における外国人の動向を統計資料などで整理した。特に、ここ20年の間の来日ならびに在留外国人数の推移と、外国籍の者と日本国籍の者との婚姻離婚の変遷を検討した。また、新潟県における外国人数の動きと、いわゆる国際結婚の実状を分析した。さらに、外国籍の者と日本国籍の者の離婚が、紛争性を高めて家庭裁判所などで処理される実数も統計などでまとめた。日本における来日ならびに在留外国人は1970年代から徐々に増加したが、1980年代になって著しく増加した。とりわけ、中国、フィリピン、ブラジルなどからの来日外国人は他の外国からの来日者に比べて二次関数的に増えている。また、それに伴いいわゆる国際結婚にも大きな変化が起こっている。1966年、国際結婚は全婚姻数の0.4パーセントに過ぎなかったが、1997年には3.6パーセントを示している。また、日本人男性が外国籍女性〔とりわけ中国やフィリピンなど〕と結婚する数の上昇が明らかである。さらに、日本国籍女性が結婚する外国籍男性の国籍は多様化している。一方、離婚もまた増加しており、日本国籍男性が家裁を利用する率が高い。 〔2〕中国に関する研究:中国家族法の立法資料を収集し、主要法令の翻訳整理をおこなう一方、1980年に現行の婚姻法が公布されてからの20年間における離婚の情況を分析した。統計によると、中国の離婚率は85年の0.9‰から98年の1.9‰ヘと急増している。また、裁判所の分析によると、その背景には経済改革と対外開放の政策の進展およびそれによる社会の変動と人々の意識変化がある。つまり数的な変化と質的な変化が中国の離婚に顕著に規れていた。そうした変化への対応は立法機関ではなく司法機関に委ねられ、裁判所が司法解釈を適宜制定することによって離婚に関する裁判基準を定立しているが、その内容は、事実婚、離婚理由、子の扶養、財産分割を柱としている。
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