2000 Fiscal Year Annual Research Report
地方における国際化と家族間紛争処理をめぐる比較研究
Project/Area Number |
11620004
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
南方 暁 新潟大学, 法学部, 教授 (70125805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國谷 知史 新潟大学, 法学部, 教授 (90234468)
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Keywords | 国際化 / 家族間紛争 / 中国家族法 / 外国人支援 / 異文化紛争 / 子の福祉 / 離婚原因 / 離婚と財産処理 |
Research Abstract |
1.国際結婚と国際離婚も増えてきている。こうした傾向は地方都市にも見られており、国際家族をめぐる紛争に対して、適切な対応や手続きを用意する必要は高まっている。新潟では、男女共同参画社会審議会が、国際家族への多様な支援をするべきであるとの指摘しており、地方においてもこうした問題へ社会の関心が集まっている。 2.現在、国際結婚としては、日本人と中国国籍を有する配偶者〔妻〕の婚姻が著しい増加傾向を見せてきた。また、中国においても中国人と非中国国籍を有する者との婚姻が増加している。そこで、中国における離婚をめぐる様々な論議と法の運用ならびに離婚をめぐる問題点を整理することにした。中国では、社会の変動に伴い婚姻法等の改正作業が進められており、離婚をめぐる論議も盛んである。離婚数が激増し、離婚原因、離婚と財産の処理、離婚と婚姻用の住居の処理、離婚と子どもの扶養などをめぐって「司法解釈」を中心とした対応が見られる。こうした状況の中で、中国と日本における家族観の違いによっては、国際離婚の当事者に不要な軋轢や不当な損失を招く危険があり、紛争当事者に対して適切な情報開示〔啓蒙的意味があろう〕や紛争処理の仕組みが求められる。 3.国際離婚において子どもの処遇もまた重大な課題である。通常、離婚により父母は国を隔てて別居することが多いので、子どもの帰属と親権の所在をどのようにするかは、子どもの福祉にとって決定的に重要な論点である。国際離婚の場合、子の福祉を判定する作業において、父母の背後にある子育ての文化や国の社会経済状況が必然的に関わってくるので復雑な性格と複眼的な考慮を必要とする。法実務においては、父母の一人が外国人であるから特に配慮をするという傾向は強く見られるとは言えないが、親子のコミュニケーションを円滑にするために必要な手段〔言葉の習得〕などについては、一定の考慮がなされて子の福祉が検討されている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 國谷知史: "中国改革開放20年間の離婚問題-その変化と裁判所の対応"新潟大学大学院現代社会文化研究科研究プロジェクト報告書. 29-100 (2000)
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[Publications] 南方暁: "日本における国際離婚の動向について-統計資料から"新潟大学大学院現代社会文化研究科研究プロジェクト報告書. 1-13 (2000)
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[Publications] 國谷知史 編: "中国年鑑2000年版〔中華人民共和国契約法を分担〕"創土社. 551 (2000)
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[Publications] Bainham A.編: "The International Survey of Family Law 2000 edition 〔Developments in Japanese Family Law During 1998-Domestic Violence Reforms〕"Family Law. 389 (2000)