1999 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ・ナチズム期のユダヤ人立法と安楽死法草案の研究
Project/Area Number |
11620006
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 誠 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90202100)
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Keywords | ナチズム / 安楽死 / ナチスの安楽死法 / ユダヤ人 / ナチスのユダヤ人立法 / ニュールンベルク法 / カール・シュミット / ハンス・ケルゼン |
Research Abstract |
1.本研究は、平成11年度と12年度の2年間にわたる研究で、平成11年度は資料収集と資料解読に多くの時間を費やした。本研究のテーマの一つであるドイツ・ナチズム期の安楽死法については、以前から資料を収集し、資料の解読を続けていたので、「幻に終わったナチス期に安楽死法-ナチズムの生態と病理」という題名で、期間内に論文を公表することができた。この論文は、ナチズム期に安楽死法の必要性が叫ばれ、安楽死法草案が作成されていたにもかかわらず、総統A・ヒトラーの反対で日の目を見なかったナチス安楽死法の論点とその問題性を浮き彫りにしたものである。とくに、わが国ではほとんど知られていない、ナチズム期の医学者・医師・行政官による安楽死法草案作成の審議過程について紹介し、現代の人権規定・自己決定権の観点からその内容を分析した。ドイツ・ナチズム期においては、現代の自己決定権に該当する内容が、審議過程のなかで論議されていたことは、新たな発見であった。 2.本研究の今一つのテーマであるナチズム期のユダヤ人立法については、現在資料を収集し、またそれらを解読しているところである。とくに1935年に施行された、ユダヤ人抑圧立法の中心的存在である「ニュールンベルク法」の思想史的成立プロセスについては、ドイツの国法学者カール・シュミットや、その論敵ハンス・ケルゼンらの思想との関連性・異質性という角度から探っている。またこの法律がナチズム期の一般民衆に与えた歴史的社会史的影響についても今後の課題として追究する予定である。
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Research Products
(1 results)