2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620010
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 法学部, 教授 (10244625)
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Keywords | 法化 / 地方自治 / 市民オンブズマン / 情報公開 / 住民訴訟 |
Research Abstract |
本年度は、昨年に引き続いて、地方自治体を相手に情報公開請求や住民監査請求を積極的に行っている「市民オンブズマン」の活動の実態把握に努めるとともに、自治体側の行政争訟への対応についての調査もあわせて行った。 まず8月19日・20日の両日に東京で開催された「市民オンブズマン全国大会」を傍聴し、活動報告を聞くとともに、同大会に参加していた全国各地の市民オンブズマン・グループのメンバー数名に個別に聞き取り調査を行った。とりわけ重視したのは、自治体を相手とした法的争訟を、弁護士に依頼せずに行うことがどこまで可能かという点である。市民オンブズマン・グループのメンバーの意見からは、まったくの法の素人であっても、数年間にわたって市民オンブズマン活動に取り組んできた人々の間には、本人訴訟を遂行していくだけの法的能力が十分に身についているという印象を受けた。 市民オンブズマンの活動に関してはまた、過去数年間に市民オンブズマン・グループが提起した情報公開請求訴訟や住民訴訟について、新聞記事等を手がかりにピック・アップし、その動向やマス・メディアの報道姿勢等を検討した。 行政争訟への自治体の対応体制に関しては、近年における地方分権の推進や「自治体政策法務」の提唱と、争訟対応の問題とが、どのように関連しているのかという問題を中心に、既存文献の検討を行うとともに、いくつかの自治体の法務担当者に対して、簡単な聞き取り調査を行った。 こうした調査に並行して、「法化」に関して論じた国内外の文献の検討もあわせて行ってきたが、アメリカやドイツを起源とする「法化」論が我が国の実態を分析するための理論枠組としてどの程度まで有効なものなのか、また必ずしも有効なものではないとしたならばそれはどうしてなのかを明らかにすることは、来年度の課題としたい。
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