2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620010
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
阿部 昌樹 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10244625)
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Keywords | 法化 / 地方自治 / 市民オンブズマン / 情報公開 / 住民訴訟 |
Research Abstract |
本年度も、一昨年度および昨年度に引き続いて、「市民オンブズマン」の活動の実態把握と自治体側の行政争訟への対応についての調査を行った。ただし、過去2年間の調査が、主として、地域住民と自治体との間の争訟の質的な把握を目的としたものであったのに対して、本年度は、1990年以降の地域住民と自治体との間の争訟の増大傾向を、可能な限り量的に把握するために、数値的なデータの収集と分析に主眼を置いた。 具体的には、情報公開請求訴訟、住民監査請求、住民訴訟の件数の経年的な変化を示す公刊のデータを多数収集するとともに、各地の自治体や市民オンブズマン組織が収集した未公刊のデータも提供してもらい、それらを通して、地域住民と自治体との関係の争訟化のトレンドを分析した。その結果、1990年代の中盤以降に、市民オンブズマン組織の数が大幅に増大するとともに、それと相関するかたちで、情報公開訴訟、住民監査請求、住民訴訟の件数も大幅に増加していることが統計的に有意なかたちで示された。 また、近年、自治体と地域住民との「協働」の必要性が多くの自治体で強調されていることを踏まえて、この「協働」論議と争訟化の進展とがどのような関係にあるのか、「協働」論は、市民オンブズマンの活動に対して、それを否定するような効果を持つ可能性はないのか等を、各地の自治体の「協働の指針」等を手掛かりとして検討した。 こうした実態分析に並行して、「法化」に関して論じた文献の検討もあわせて行ってきたが、欧米を起源とする「法化」論は、我が国の実態を把握するための道具概念としては、それほど有効なものではないという感触を強めた。それゆえ、「法化」という言葉に固執せず、「争訟化」という概念を基本概念として本調査の取りまとめを行うことにし、そうした方向で報告書を執筆しているところである。
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Research Products
(1 results)