1999 Fiscal Year Annual Research Report
GHQ文書による戦後税制・税務庁政についての実証的研究
Project/Area Number |
11620012
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
小柳 春一郎 獨協大学, 法学部, 教授 (00153685)
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Keywords | 占領 / 税務行政 / 税制 / GHQ / 所得税 / シャウプ勧告 |
Research Abstract |
本研究において、国会図書館のGHQ文書について、相当調密な調査を行うことができた。その結果として、第一に当時の税制改正・税務行政改正の中心的存在であったGHQ経済科学局財政課の週報(Weekly Report)を相当数収集できた。さらに、財政課より分離した内国歳入課(Internal Revenue Division)に関して、1948年12月段階からの基本的文書集(Outgoing Data)を発見し、資料整理に着手できた。これが今回の検討の最大の発見である。この結果、例えば、1949年に国税庁が発足するにあたり、内国歳入課長ハロルド・モスが行った挨拶の英語版原文も入手し得た。詳しい整理は、2000年度の研究にゆだねられる。 第二に、米国での補充的資料収集の傍ら何度か手紙を出した結果、とりわけ、資料調査中のワシントンから発信した手紙が功を奏してハロルドモス氏本人と手紙により接触できるようになった。モス氏は、現在体調が不十分であるが、手紙を見る限り、精神的に非常にしっかりとしているのであり、離日最終日の前日に池田蔵相(当時)と宮沢喜一氏と夕食を共にしたことを記している。これについては、2000年に補充調査を行い、モス氏本人と個人的に接触して、資料があれば入手することが可能になった。 第三に、内国歳入課の活動を精査することにより、当時のGHQの活動が当初は税制の立法支援(例、所得税法改正、申告納税制度導入など)にあったが、1948年度の歳入不足に接し、租税行政を含めた執行問題が関心の中心になり、その結果、税制自体のより詳細な再検討が必要になったことを明らかにし得た。モスがシャウプ博士招請を発案したのであるが、それもこのような執行を含めた問題が重要であったからに他ならない。
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