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2000 Fiscal Year Annual Research Report

法におけるセクシュアリティのポスト・ジェンダー分析

Research Project

Project/Area Number 11620013
Research InstitutionGakushuin University

Principal Investigator

紙谷 雅子  学習院大学, 法学部, 教授 (40161228)

Keywordsクィアー理論 / セクシュアリティ / フェシニスト法理論
Research Abstract

カナダにおいては,非常に早くから「クィアー理論」がさまざまな分野において展開されてきたにもかかわらず,法においては「クィアー理論」よりも,近代における重要な概念である「平等」がセクシュアリティに関する法理において支配的である.1995年には「平等」の対象として性的指向が含まれるというイーガン対ネスビット判決や同棲中の同性カップルの一方の未成年実子を他方が「共同母」として養子関係を形成することを認めたK判決が下された.1999年5月,カナダ最高裁判所が,オンタリオ州家族法における配偶者を法律上の婚姻関係にあるか否かに関わらず,同居している男性と女性と規定する29条をカナダ権利と自由憲章15条に抵触すると判断したオンタリオ州控訴裁判所の1996年判決に対する上訴を退けて以来,カナダにおける法とセクシュアリティの議論は以前よりもまして「平等」の概念を中心に展開されている.連邦法のみならず,オンタリオ州やクエべック州などでも,同性間の事実婚関係を,異性間の事実婚関係と同じように取り扱うという州法の改正が,「平等」を根拠に実現しており,ブリティッシュ・コロンビア州では同性間の婚姻届の受理が同じく「平等」を根拠に実現している.さらに,2000年12月のカナダ最高裁判所のリットル・シスタース・ブック・アンド・アート・エンポリアム対カナダ(司法省)判決は,ゲイとレズビアン共同体のメンバーを主要な購読利用者とする書店に対する税関による選択的差別的な没収,輸入遅延等が,性的招集者の保護を含む平等というカナダ社会の基本的な価値に抵触しており,人を貶め,害をもたらすという猥褻概念を導入したバトラー判決は,差別的にゲイとレズピアン共同体における性的表現を抑圧するよう猥褻概念を解釈するものではなく,有害ではない性的に露骨な表現を許容していると判断した.
これらの判決は,裁判所が平等に対する新しいアプロウチに対して受容的である場合には,自らの立場を自ら語ることを重視する実践的理論としての「クィアー理論」を用いなくとも,従来からの平等理論を進化させることによって目的を実現することは可能であることを示しており,理論の実践的援用と展開は裁判所のスタンスにより非常に左右されるという事実が明らかにされているように思われる.

  • Research Products

    (6 results)

All Other

All Publications (6 results)

  • [Publications] 紙谷雅子: "人権救済制度のあり方"法律時報. 73・2. 11-17 (2001)

  • [Publications] 紙谷雅子: "現代アメリカにおける公私観の変容"公共哲学. 22. 156-65 (2000)

  • [Publications] 紙谷雅子: "「私的な領域」に国家はどう関わるか"アェラムック 憲法学を学ぶ. 107-11 (2000)

  • [Publications] 紙谷雅子: "「セックス」と「ジェンダー」果てしない言葉の争い"法の臨界. 1. 53-74 (1999)

  • [Publications] 紙谷雅子: "性的性向に基づく差別から同性愛者を保護することの・・・"ジュリスト. 1148. 333-36 (1999)

  • [Publications] 紙谷雅子: "チャイルド・ポルノグラフィと表現の自由"法律時報. 70・11. 37-40 (1998)

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Published: 2002-04-03   Modified: 2016-04-21  

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