1999 Fiscal Year Annual Research Report
近代法形成過程のジェンダー的分析-18〜19世紀ドイツの性差論と立法への反映
Project/Area Number |
11620016
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
三成 美保 摂南大学, 法学部, 助教授 (60202347)
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Keywords | ジェンダー / 近代法 / ドイツ / 立法過程 |
Research Abstract |
現在、(1)19世紀プロイセンの立法史料ならびに最高裁判決録を読みすすめるとともに、(2)フェミニズム法学、フェミニズム社会学の成果を法史学の立場から再検討している。 1.19世紀中葉までの立法・裁判史料には、セクシュアリティ(未婚の母、性犯罪)ならびに家族に関する法的問題について、立法者や裁判官のジェンダー・バイアスがきわめて明白に示されている。しかも、それらのジェンダー・バイアスが新しき市民法原理の基礎をなすものとして、積極的に肯定されている点をみのがすことはできない。 2.フェミニズム法学は、「近代法の再検討」を課題としてかかげているにもかかわらず、近代法形成期の具体的分析が不十分なために、説得力を欠いているのが現状である。ジェンダー・バイアスが単なるトピックではなく、近代法の構造そのものに関わることを今後示していく必要がある。また、フェミニズム法学が「発見」した種々の問題(セクシャル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスなど)を安易に歴史の中にもちこみ、前史をたどろうとする姿勢にも疑問がのこる。ジェンダー・バイアスの歴史的変化とその意味こそを明らかにしていかなければならないと考える。
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