2000 Fiscal Year Annual Research Report
国連海洋法条約実施過程の研究-条約の解釈・適用の実証研究と海洋法理論の動向分析
Project/Area Number |
11620033
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
田中 則夫 龍谷大学, 法学部, 教授 (40148391)
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Keywords | 海洋法 / 国連海洋法条約 / 公海漁業 / 深海底制度 / 人類の共同の財産 / 国際海底機構 / 海洋の平和利用 |
Research Abstract |
本年度における成果の一つは、国連海洋法条約にもとづいて設立された国際海底機構(ジャマイカのキングストン)を直接訪れ、機構の法務部の担当者に面会し、機構の活動の現状について調査する機会をもち、深海底制度の実施状況を観察し、国家の実行に関するデータを含め、最新の資料を収集することができたことです。この海外調査にもとづき、深海底制度の設立、修正、実施という一連の流れをまとめる論文を執筆することができました(国際法学会100周年記念出版の「海」の巻に寄稿)。資源開発制度に関しては、ほかに、公海漁業の問題の調査と研究を深め、公海漁業を規律する海洋法が大きな転機を迎えていることの論証を試み始めています。論文の公表は次年度になる予定ですが、漁業に関しては、もはや公海におけるそれであっても、いわゆる自由な操業というのは許されなくなってきています。鉱物資源であれ、漁業資源であれ、その開発については、国連海洋法条約の体制の下で、問題に応じた国際的なコントロールをかけていく方向にあります。その意味で、海洋国際法は、国連海洋法条約の実施過程を通じて、大きな転換過程にあるといえます。こうした海洋法の現代的特質を体系的に整理する必要を痛感します。次年度以降の重点課題として引き継ぎます。なお、今年度は、船舶航行制度や海洋環境保護制度にも関連する問題として、春の段階で、海洋の平和利用の問題を検討し、論文を執筆しました。海洋の平和利用の問題は、国連海洋法条約自体に抽象的な規定があるだけで、明確かつ具体的な規定のない問題です。それゆえ各国の国家実行も多様です。理論と実行の両側面のフォローを引き続き行っているところです。次年度は、本研究テーマの最終年度ですので、現代海洋法の構造的特質を抽出、整理することができるように努めたいと考えています。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 田中則夫: "排他的経済水域における軍事演習の規制可能性"海洋法制研究会『EEZ内における沿岸国管轄権をめぐる国際法及び国内法上の諸問題』(日本国際問題研究所). 53-69 (2000)
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[Publications] 田中則夫: "日本の新領海・新内水で操業した韓国漁船の拿捕と日韓漁業協定"ジュリスト・平成11年度重要判例解説. 1179号. 284-286 (2000)
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[Publications] 田中則夫: "直線基線の設定により日本の新領海になった海域での韓国漁船の操業"法学教室. 236号. 124-125 (2000)
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[Publications] 「日本の国際法判例」研究会(田中則夫(他、共著)): "日本の国際法判例(14)-1997(平成9)年-"国際法外交雑誌. 99巻4号. 67-134 (2000)
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[Publications] 田畑,竹本,松井,田中(則夫) ほか 共編: "判例国際法"東信堂. 589 (2000)
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[Publications] 田中則夫(他、共著): "ベーシック条約集(第二版)"東信堂. 904 (2000)