2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620034
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
坂元 茂樹 関西大学, 法学部, 教授 (20117576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 泰介 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (60068608)
中村 道 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60032710)
藤田 久一 神戸大学, 法学部, 教授 (70067619)
薬師寺 公夫 立命館大学, 法学部, 教授 (50144613)
田中 則夫 龍谷大学, 法学部, 教授 (40148391)
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Keywords | 前文 / 国の条約締結能力 / 国内法と条約の遵守 / 条約の運用停止 / 寄託者 / 外交関係の断絶 / 参加権 / 日本の条約法研究の軌跡 |
Research Abstract |
「前文」、「国の条約締結能力」、「条約の暫定的適用」、「条約の遵守」、「条約の運用停止」、「寄託者」、「外交関係の断絶が条約義務に及ぼす影響」、「参加権」に関する諸条文を検討した。また、日本における条約法研究の軌跡についても、詳細な検討がなされた。これらの研究によって新たに得られた知見としては、以下の諸点が挙げられる。 「前文」について、この前文は、条約法条約の前文であって、ある条約の作成にあたり起草すべき前文の在り方ないしその内容を示すものではない。「国の条約締結能力」について、現行条約法条約第6条の規定は、当初は二つの項を有していたが、一部の連邦国の強い反対により第2項が削除され、ようやく成立に至った条文である。「条約の暫定的適用」について、国連海洋法条約第11部実施協定が、条約の暫定的適用という条約法上の問題に、新しいプラクティスを提供し、問題を提起している。「条約の遵守」について、現実の国際社会では、国家が自国の国内法を根拠に、条約の「履行」を回避する可能性も少なくない。「条約の運用停止」について、条約法条約第57条の主要部分、すなわち条約の規定または当事国の同意がある場合には、条約の運用を停止できるという規則は、起草過程に鑑みれば、既存の国際慣習法を法典化したものと言ってもよいのではなかろうか。 紙幅の関係上、「寄託者」、「外交関係の断絶が条約義務に及ぼす影響」、「参加権」については省略せざるを得ないが、日本の条約法研究の軌跡については、一言述べておきたい。日本の条約法研究の足跡を辿った結果、残念ながら、日本の戦前の条約実践は、現在および将来の模範としては使えないものであることがわかった。しかし、過去の日本の実践がわれわれの模範とならないとしても、過去は捨て去るものではなく、よりよい未来のための智恵を宿すものであると考えたい。
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Research Products
(1 results)