1999 Fiscal Year Annual Research Report
裁判外の紛争処理手続(ADR)によるインターネット上の紛争処理の可能性
Project/Area Number |
11620035
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
町村 泰貴 亜細亜大学, 法学部, 助教授 (60199726)
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Keywords | サイバーロー / インターネット / 裁判外紛争処理 / ADR / ドメインネーム / WIPO / ICANN / 調停 |
Research Abstract |
平成11年度の研究においては、主としてサイバースペースで起きる様々なトラブルについて利用者の声を収集するとともに、ADR(裁判外紛争処理)の様々な分野における有用性と限界を検討し、整理した。具体的には、我が国におけるADRとして重要な位置を占める民事調停・家事調停について、利用者アンケートを実施して、利用者がADR実施機関に対して抱いている不満・要望を収集することができた。 サイバースペースにおけるADRは、現在のところ我が国で実例が乏しく、実態調査を行うには至らなかったが、アメリカにおけるOnline Ombuds Officeがオンライン・オークションのE-Bayと提携して調停サービスを行った例があり、これを参考にしてADRのあり方を考えることができた。また、研究期間の後半にはインターネット・ドメインネームと商標権等との紛争を対象とするADRがICANNによって制度化され、現在WIPO他三機関が紛争解決機関として活動中である。本年度はこのうちWIPOが取り扱った事例一件について、少々立ち入って検討を加えた。 これらの検討の結果、我が国でサイバースペースにおけるADRを構築する場合に考慮すべき点がいくつか浮かび上がった。すなわち、調停型と仲裁型との得失、約款による合意調達の可能性、係争額に見合った手数料が低額に抑えられ、コストの負担は紛争解決により利益を得られる者が負担すべきこと、ネットワークを利用することによる手続上のメリットとその限界などについてである。
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Research Products
(1 results)