1999 Fiscal Year Annual Research Report
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11620046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
川嶋 四郎 九州大学, 法学研究科, 教授 (70195080)
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Keywords | 救済法 / 民事訴訟法 / 民事執行法 / 民事保全法 / 倒産処理法 / 環境民事訴訟法 / 不法行為法 / 契約法 |
Research Abstract |
本研究に際しては、救済法の観点から民事手続過程を再構築するという問題意識は既にもっていたので、先行的にいくつかの論点について研究を始めており、その成果の一部は、すでに「研究発表」欄記載の論文等で公にした。 特に、民事訴訟・判決手続過程においては、事案によっては、救済内容の多様性や可変性の視点からは、手続過程の流れに従い段階的に当事者適格を考えて行くべきであるという基本的な方向性を提示した。また、当事者適格にも関係するが、新民事訴訟法で新たな規整が加えられた選定当事者制度についても、救済法の観点から、その公共訴訟への展開可能性について論じた。 さらに、確認訴訟の救済過程についても、救済法の観点から、特にその将来の確認の利益を比較的広く認めることの理論的基礎を、二つの最高裁判決の検討を通じて、呈示することができた。なお、昨年11月に抵当権侵害と妨害排除請求の問題に関する画期的な最高裁大法廷判決が出されたが、その救済法的観点から見た意義と課題についても、簡潔ながら論じることができた。 しかし、以上はいずれも、本研究課題の中では、各論的な位置を占める。 今年度は、本研究課題の探求のための最初の年度に当たるために、主として文献の収集と分析検討に多くの時間を費やした。その成果は、来年度以降に、大学紀要や雑誌を通じて、逐次公刊して行きたい。
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[Publications] 川嶋四郎: "環境民事訴訟の現状と課題"ジュリスト増刊"(2)" 特集・環境問題の行方. 95-107 (1999)
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[Publications] 川嶋四郎: "新たな選定当事者制度の救済構造について"法政研究(九州大学). 66・2. 565-594 (1999)
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[Publications] 川嶋四郎: "証拠の収集"法学セミナー. 544. 30-33 (2000)
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[Publications] 川嶋四郎: "抵当権侵害と妨害排除請求"法学セミナー. 541. 2-5 (2000)
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[Publications] 川嶋四郎: "建物賃貸借の継続中における敷金返還請求権の存在確認を求める訴えの適否"判例タイムズ. 1009. 39-48 (1999)
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[Publications] 川嶋四郎: "遺言者の死亡前に提起された遺言無効確認の訴えの適否"判例タイムズ. 1013. 65-75 (1999)