2000 Fiscal Year Annual Research Report
民間借家に対する法的規制のあり方に関する比較法的研究
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11620051
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 勝一 早稲田大学, 法学部, 教授 (10063794)
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Keywords | 借家法 / 民間借家政策 / 都市居住者の階層分化 / 都市空間の再配置 / 家賃規制 / 存続保護制度 / 住宅政策と法 / 定期借家 |
Research Abstract |
民間借家に関する法的規制について日本、アメリカ、イギリスの3国を比較研究した。その際には借家法の背後にある都市政策、住宅政策と関連させながら検討をおこなった。 日本については、平成12年3月より施行されたいわゆる定期借家法について、その実際的な機能を検討した。新規に賃貸される借家のうち定期借家契約が利用されるものは数パーセントであり、立法推進者の予期とは反する結果になっていることが明らかになった。その理由としては、期間満了によって当然終了するという契約内容は賃借人に不利益であって選択されないのみならず、借家の継続的な賃貸と賃料収入を期待する賃貸人にとっても不利益であり、社会的有効性が乏しいことも判明した。 アメリカについては、借家事情の厳しいニューヨークを対象として、借家事情、民間借家法制度の内容につき現地調査を含む検討をおこなった。ニューヨークでは、家賃規制が重要な政治的争点となっており、家賃規制政策の継続をめぐる不動産開発業者、賃貸業者、賃借人団体の関係を調査した。ニューヨーク市民の多くが借家に居住しているため、借家人団体の政治的圧力とそれを受ける市当局の対応に関して検討を加えることができた。また、借家法制の内容を詳細に検討する機会を得ることもできた。 イギリスに関しては、官庁、研究機関を訪問し、最新の状況を把握するとともに、民間借家の復活と称される状況の背景を調査し、住宅問題は固有の社会問題としての性格を失い、より一般的な都市問題のなかで考察すべきことを明確にすることができた。 これら3国を通じて、いわゆる経済のグローバル化にともない、都市居住者の階層分化が進行し、都市空間の再配置が進み、これに対応する方向で都心地域の住宅政策が進められる状況を明らかにすることができた。また、住宅政策に関する理論的方法論的検討をも加えることができた。
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Research Products
(1 results)