2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620052
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥山 恭一 早稲田大学, 法学部, 教授 (80164078)
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Keywords | フランス会社法 / コーポレート・ガヴァナンス / 監査役 / 取締役会 / 会社の業務執行 / 監査制度 / 機関構成 |
Research Abstract |
本研究は、株式会社の業務執行機構の変遷を、フランス法を素材にして実証的に明らかにすることを目的としている。とりわけ、近年、各国において「コーポレート・ガヴァナンス」が盛んに論じられており、株式会社企業の経営機構のあり方がそこで問題にされている。そのため、フランスでなされている「コーポレート・ガヴァナンス」の議論もあわせて検討することを通して、フランスの特色を浮きぼりにするという作業も行なった。 フランスでは1966年の商事会社法改正以来、株式会社の業務執行機構に関して、いわゆる一層制と二層制の二つの機構が認められているが、現在でも、ほとんどの会社は、単一の合議機関からなる一層制の機構を採用している。そのような一層制の機構では、取締役会が監督するべき会社の業務執行は取締役会の会長が行なうものとされている。すなわち、一層制の機構においては、業務執行と監督は制度上分離しておらず、取締役会による業務執行の監督は、自らの構成員に対する監督であるという自己監督の矛盾を抱えている。この点は、わが国の取締役会による監督(商法260条1項)でも同様である。 アメリカあるいはドイツでは、会社業務の執行と監督を分離させることによって監督に実効性をもたせようとしている。フランスでも、「コーポレート・ガヴァナンス」の議論においてそうした分離の必要性が指摘されており、現在それに関連する立法作業が国会でなされている。もっとも、フランスでは、アメリカあるいはドイツとは異なって、「監査役(commissaire)」の制度が強化されてきた点にも特色がある。 上記の立法作業による改正が近く実現する見通しであり、この会社法改正を踏まえたうえで本研究を完了させ、成果を公表したい。
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