2000 Fiscal Year Annual Research Report
医事刑法の総合的研究-自己決定権とパターナリズムの交錯-
Project/Area Number |
11620062
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
甲斐 克則 広島大学, 法学部, 教授 (80233641)
|
Keywords | 医事刑法 / 自己決定権 / パターナリズム / 安楽死 / 尊厳死 / 臓器移植 / クローン / 身体 |
Research Abstract |
「医事刑法の総合的研究-自己決定権とパターナリズムの交錯-」という研究課題に取り組み、今年度は、総論部分のうち、刑法における自律と自己決定、そしてパターナリズムとの関係を中心に、ドイツのハロー・オットー教授(バイロイト大学)、佐伯仁教授(東京大学)、齋野彦弥教授(北海道大学)、松宮孝明教授(立命館大学)、梅崎進哉教授(久留米大学)らと有益な意見交換ができた。 また、各論的考察として、別紙研究発表に見られるように、クローン問題等の生命発生の周辺の問題を考察し、さらに医師による自殺幇助、安楽死・尊厳死の問題、臓器移植の問題、さらには院内製剤とインフォームド・コンセントの問題について考察し、医事刑法における自己決定権の具体的適用場面と限界についての考察で一定の成果をあげることができた。さらに、日本医事法学会シンポジウムにおいて医療過誤刑事判例の総括的分折をすることができた。 その他、医療関係者に対する各種ヒアリングを実施したり、研究会において医療過誤、出生前診断、インフォームド・コンセントについて議論をして、有益な意見を聴取することができた。医事刑法理論が医療現場にどのように受け止められ、医療の改善に繋がっているかという新たな課題も発見できた。 残された課題を次年度でさらに探究する予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 甲斐克則: "院内製剤とインフォームド・コンセント"日本病院薬剤師会雑誌. 36卷8号. 5-8 (2000)
-
[Publications] 甲斐克則: "クローン技術の応用と法的規制"産婦人科の世界2000春季増刊号『Bioethics医学の進歩と医の倫理』. 52卷. 175-179 (2000)
-
[Publications] 甲斐克則: "クローン技術の応用と(刑事)法的規制"現代刑事法. 2卷10号. 26-36 (2000)
-
[Publications] 甲斐克則: "臓器移植法下における脳死移植"年報医事法学. 15号. 193-197 (2000)
-
[Publications] 甲斐克則: "医事法的観点からみた患者の身体"医学哲学・医学倫理. 18号. 167-173 (2000)
-
[Publications] 甲斐克則: "安楽死・尊厳死,/刑法における人の概念"ジュリスト増刊『刑法の争点』(第3版). 40-41,124-125 (2000)
-
[Publications] 渡辺満: "『高齢社会論』(「終末期医療と法」を担当)"成文堂. 332 (2000)
-
[Publications] 本間一也: "『Live刑事法』(「違法評価と自己決定権」ほかを担当)"成文堂. 227 (2000)