1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620066
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
加藤 克佳 愛知大学, 法学部, 教授 (20202012)
|
Keywords | 証人保護 / 被害者証人 / 証人尋問 / 危険に晒されている証人 / とくに傷つきやすい証人 / テレビ証言制度(ビデオリンク方式) / 証言ビデオテープ / 証人補佐人 |
Research Abstract |
今年度は、主としてドイツにおける証人保護法制を正確に把握する作業に力点を置き、とくに、今まさに動いているドイツの現状を整理・分析するように努めた。そのために、(1)関連文献・資料のできるだけ網羅的な収集・検討とあわせて、(2)海外出張してドイツの研究者・実務家に対する聞き取り調査も行った。その際には、(3)本研究計画についてドイツの研究者のレビューも受けることができた。これと平行して、(4)アメリカ法に関する文献・資料の収集、(5)わが国での実務家インタビューやアンケート調査の方法の具体的検討も若干ながら実施した。 一方、研究当初からある程度予想されていたことではあるが、証人には被害者がなる(被害者証人)ことが多いため、刑事訴訟における被害者保護についても研究の必要性・緊急性を痛感した。そこで、(6)ドイツにおける被害者保護の歴史・現状・課題について証人保護と関連させつつ考察し、また、(7)わが国における問題状況についても、ある程度取り組まざるをえなかった。今年度の発表論文は、むしろこれらについて論じたものが多い。被害者保護は、現在わが国の刑事立法の重要課題となっているため、立法論議を睨みつつ具体的に検討する機会が得られたことは、幸運であった。わが国でも、漸次、包括的な被害者保護策の構築と併せて、とくに組織的犯罪対策の一環として証人保護策の見直し・拡充が期待されているので、ドイツ証人保護法制の研究にあたっても、その点に留意しつつ進めることができたように思われる。 もとより、いずれについてもなお不十分・不完全であるので、その点を反省するとともに、次年度以降の研究に十分活かしてゆきたいと考える。
|
-
[Publications] 加藤克佳: "刑事手続において保護を求める被害者の権利"法律時報. 71巻10号. 27-38 (1999)
-
[Publications] 加藤克佳: "刑事手続への被害者の参加"ジュリスト. 1163号. 30-38 (1999)
-
[Publications] 加藤克佳: "刑事訴訟における犯罪被害者の保護"夏目文雄先生古稀祝賀論文集. 199-254 (2000)