2001 Fiscal Year Annual Research Report
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11620066
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
加藤 克佳 愛知大学, 法学部, 教授 (20202012)
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Keywords | 証人保護 / 危険に晒されている証人 / とくに傷つきやすい証人 / 証人保護プログラム / 組織犯罪対策 / テレビ尋問制度 / 証人の遮へい / 証人補佐人 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるので、全体の総括を目指して、これまでの2年間で不十分だった点を中心に研究を行った。まず、ドイツにおける証人保護法制を引き続きフォローする作業に従事した。ドイツでは、1998年の証人保護法を含めて、どちらかといえば被害者証人保護の問題に重点が置かれてきたが、2001年末に成立した証人保護調整法は、組織犯罪対策の一環としての証人保護についてドイツで初めて全国統一的な法整備を行った画期的なものである。そこで、これまで収集・整理した文献・資料を基にできるだけ広い角度からドイツ法に分析・検討を加えた結果、わが国でも包括的な証人保護法制の整備が可能かつ必要であり、司法制度改革の一環として刑事手続のみならず司法全体に及ぶ改革を検討する時期に来ていることが判明した。 以上と平行して、アメリカその他の証人保護に関する文献・資料の収集・検討を継続した。とくにアメリカでは、組織犯罪による被害者・証人の保護策として「証人保護プログラム」をはじめ、注目すべき証人保護施策が行われているため、アメリカ連邦法を中心として制度の全体像の把握を目指して研究を進めた。さらに、世界的な被害者保護の潮流の中で、被害者証人保護に関する比較法研究の文献も公刊されているので、その他の諸国のとくに被害者証人の保護策について概観的な検討を試みた。 一方、わが国における証人保護、とくに被害者証人保護の実態については、2000年の犯罪被害者保護関連二法施行後間がないこともあり、断片的な知見を得るにとどまったが、おおむね当初の立法目的に即した運用が行われていると評価できる反面、やはり法制度の不備も少なくないと感じられる。今後は、わが国立法作業の基礎資料と位置づけられるよう、以上の(とくに比較法的な)研究の成果をできるだけ早期に公刊するよう努力したい。
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