2000 Fiscal Year Annual Research Report
政治改革のインパクトの理論的・実証的分析-選挙・政治資金・議会過程-
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11620068
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川人 貞史 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10133688)
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Keywords | 衆議院 / 総選挙 / 政治改革 / 政党 / 政治資金 / 戦略投票 |
Research Abstract |
1.2000年9月から官報および全国47都道府県の公報に順次掲載された1999年政治資金収支報告書の概要(中央届け出分および地方届け出分),および,2000年6月25日執行の衆議院総選挙の選挙運動費用収支報告書の概要に関する全国47都道府県の公報掲載資料を収集した.本報告書執筆現在,政治資金収支報告書はすべて収集を終えたが,選挙運動費用収支報告書は6都県がまだ公表していないため41道府県分について収集できている.これらのデータの入力を順次進めている. 2.2000年総選挙における小選挙区結果データを入力・整理するとともに,比例代表選挙結果データを入手し,小選挙区単位で政党ごとに集計し直したデータ・ファイルを作成した.また,市区町村ごとに集計された1995年国勢調査データを小選挙区単位で集計し直したデータ・ファイルを作成した. 3.1で作成を進めている政治資金データ,選挙運動費用データを2で作成した総選挙データ,国勢調査データと統合することにより,政治改革のインパクトの理論的・実証的分析のためのデータ・ファイルを作成する.現段階では,1のデータが未完成であるが,部分的に完成した分から分析に活用して,1996年および2000年総選挙における戦略投票,政党間協力,政治資金の効果に関する分析を進めていく. 4.2000年総選挙に関する予備的な分析結果として,読売新聞2000.7.6の「論点2000年総選挙」欄へ「森政権信任 選挙協力の産物」を発表し,また,編著書の『現代の政党と選挙』(有斐閣,アルマ・シリーズ,2001年)の第7章「日本の政党間競争と選挙」を発表した.その要点は,「不人気でかつ首相としての資質が問われていた森首相であったにもかかわらず,森政権を信任した」という逆説的結果を有権者が選んだ2000年総選挙結果を,小選挙区中心の選挙制度の特性に対応して,連立与党が徹底した候補調整を行って無駄な競合をなくした選挙協力の成功に求めた.2000年総選挙結果は,有権者の側の戦略投票および政党の側の選挙協力とが交錯した中で生じたものであり,政治改革に対して合理的に適応しようとするアクターたちが織りなす政治過程であったと捉えている.
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[Publications] Kawato,Sadafumi: "Strategic Contexts of the Vote on Political Reform Bills"Japanese Journal of Political Science. Vol.1 No.1. 23-51 (2000)
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[Publications] 川人貞史,吉野孝,平野浩,加藤淳子: "現代の政党と選挙"有斐閣. 281 (2001)