1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620084
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大澤 博明 熊本大学, 法学部, 助教授 (70213684)
|
Keywords | アジア主義 / 脱亜論 / 天津条約 / 朝鮮永世中立化 |
Research Abstract |
本表題においては平成11年度研究計画に基づき第1期(1995年5月〜12月)、第2期(2000年1月〜3月)に分けて遂行しつつある。 まず第1期においては第1次史料の集中的入手に努めた。資料収集旅行を繰り返して多くの1次史料を閲覧し必要部分を複写することが出来た。具体的には、国立国会図書館憲政資料室にて「陸奥宗光関係文書」「寺内正毅文書」、防衛庁防衛研究所図書館所蔵の旧陸海軍文書、横浜開港資料館にてイギリス外務省日本関係外交文書(FO46,FO262)・アメリカ国務省日本関係外交文書(NA133)、東洋文庫にてイギリス外務省中国関係外交文書(FO405)、東京大学総合図書館マイクロ資料(FO17)その他である。 以上のような諸資料に含まれる諸情報を逐次整理・分析しデータ化する作業を継続的に行った。 次に、第2期に於ける現時点では、第1期において行った諸情報のデータ化に基づく仮説構築作業の最中である。本作業は現在進行中であり未だ完了しているわけではないが第1期第2期を通じて以下のような知見を得ることが出来た。 (1)先行研究に見る「陸奥外交」像理解の史料的基盤が日本のそれに偏して組み立てられていること。 (2)その史料解釈は、イギリスなどの外国史料とつきわせて考察すると、相当強引な解釈が散見されること。 (3)そのような先行研究上の史料解釈の問題性は史料的制約のみならず、近代日本外交理解に関する理論的枠組みも大きな影響を与えているのではないかということである。
|