1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620085
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
前山 亮吉 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (70238880)
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Keywords | 昭和会 / キャスティング・ヴォート / 第三党 / 議会制度改革 / 選挙戦術 / 無党派層 / 明政会 |
Research Abstract |
本研究は事例分析と資料調査・収集の2つの方法に大別される。それぞれにつき実績報告を行う。 A.事例分析:本年度は1935年(昭和10年)から1937年(昭和12年)にかけて存在した「第三党」・昭和会に関する研究論文を完成した。以下同論文の要約を紹介する。昭和会は政友会の分裂によって生じた政党であるが、設立当時有力政治家を党首に擁し且つキャスティング・ヴォートに近い数を有していたという意味で強い「第三党」になり得る位置にあった。しかるに昭和会はわずか2年で解党した。昭和会は何故強い「第三党」に成長し得なかったのかという問題につき、本論文は次の3点の知見を見い出した。 1.1936年(昭和11年)の議会制度改革により、昭和会が政治的資産とした議員25名確保という院内交渉団体資格が撤廃され、他の小政党に対する優位性が保持できなくなり政治的に埋没した。 2.昭和会の現職・特定地域優先の選挙戦術が獲得議席の固定化を招き、近代日本の「第三党」の障碍であり続けた既成二大政党の全国的地盤の破壊に1936年の総選挙で失敗した。 3.既成二大政党を支持しない都市部「無党派層」の要求に反する現状維持・保守的政策提唱の結果、昭和会は1937年(昭和12年)の総選挙で社会大衆党に「第三党」の地位を明け渡すに至った。 B.資料調査・収集:本年度は1928年(昭和3年)から約2年存続した「第三党」・明政会の資料調査・収集に集中した。特に国立国会図書館憲政資料室所蔵の鶴見祐輔関係文書にある多くの「明政会会議メモ」は「第三党」内部の意志決定を内在的に理解する上で不可欠の資料であるとことが認識できた。他の資料のと関連を重視した「明政会会議メモ」のデータベース化を進め、論文作成に着手する。
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