2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11620089
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
尹 健次 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (90175670)
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Keywords | 現代 / 韓国 / 思想 / 日本観 / 親日 / 反日 / 近代性 / 植民地性 |
Research Abstract |
平成12年度の研究は、これまで取り組んできた研究の中間決算をするのに力点をおいた。もともと、この研究は現代韓国の政治意識および思想の変容という大きな主題をあつかうものであるため、ある程度、的を絞って取り組む必要がある。現代韓国の思想は米ソ冷戦の国際的力学関係のなかで把握し、そこでの南北朝鮮の対立、分断国家の成立、朝鮮戦争、分断体制の固定化、反共独裁体制の確立、さらには果敢な民主化運動の展開といった過程のなかで考察する必要がある。その場合、韓国民衆や知識人の苦渋に満ちた思想の営みに注意することが重要であり、それは現代韓国の思想の把握をなによりも前提とする。幸い、今年度はこれまでの研究成果を書籍として公刊することができた。『現代韓国の思想-1980-1990年代』(岩波書店、2000年9月刊)であるが、そこでは現代韓国の思想を概括し、その学問的意味を探求するのに一つの焦点をおいた。植民地体験、民族解放、朝鮮戦争、そして南北分断の固定化という「圧縮近代」における近代化と脱植民地化、そしてそこにおける近代性および植民地性の問題を明らかにすることを意図した。当然、現在の世界的な思想潮流の一つであるポストコロニアリズムについても注意を払い、それは脱植民地主義の主題設定という形で論じた。またこの本と相互補完関係をなす形で、『「在日」を考える』(平凡社ライブラリー、2001年刊)も出版した。 ただこうした作業は、本研究の「現代韓国における政治意識および思想の変容と日本観」という大きな主題からするとき、なお基礎的な研究、つまり前段階の作業に相当するものであり、今後、本格的な資料の収集、および現場における研究者どうしの意見交換が不可欠であると思える。 その意味もあって、2001年度は、植民地宗主国の中心地ともいうべきイギリス・ロンドンと、被植民地の代表的な場所である韓国・ソウルで在外研究に励み、本研究をさらに押し進めていきたい。
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[Publications] 尹健次: "記憶と社会科学的認識"神奈川大学評論. 第36号. 42-57 (2000)
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[Publications] 尹健次: "日本.そして「在日」にとっての東アジア認識"インパクション. 第121号. 50-62 (2000)
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[Publications] 尹健次: "統一を前にした韓国は民族主義の新しい地平の試験台"月刊マル(韓国・ソウル). 通巻172号. 146-151 (2000)
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[Publications] 尹健次: "日本の東アジア認識"歴史批評(韓国・ソウル). 通巻53号. 37-53 (2000)
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[Publications] 尹健次: "現代韓国の思想-1980〜1990年代"岩波書店. 335 (2000)
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[Publications] 尹健次: "「在日」を考える"平凡社. 357 (2001)