1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630037
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
長岡 貞男 一橋大学, イノベーション研究センター, 教授 (00255952)
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Keywords | 知的財産権 / イノヴェーション / ブランド内競争 / 並行輸入 / 垂直的な制限 / 損害賠償制度 / 逸失利益 |
Research Abstract |
知的財産権とイノヴェーションについて以下の三つの分野で研究を進めた。第一は、知的財産権の国際的な消尽が、研究開発などに及ぼす経済的な影響を総合的に分析する論文をまとめて、自著(『内外価格差の経済分析生産性からのアプローチ』、NTT出版)の第7章(国際的なブランド内競争、知的財産権と内外価格差)として発表した。同一ブランド品(すなわち同じメーカーの同一製品)に大きな内外価格差が存在すれば国際的な裁定行為の機会をもたらすが、商標権、特許権、著作権など知的財産権による並行輸入の制限は、こうした裁定行為を制限する。他方で、このような知的財産権の地域的な分割は、市場開拓投資や研究開発投資への誘因を高める効果もある。メーカーと流通業者の間の垂直的な制限(テリトリー制の契約など)も同じような効果を持っている。本論文は、こうした効果を総合的に分析し、効率的な政策の在り方を検討している。第二は、日本の知的財産権保護における損害賠償制度の役割を分析し、論文(知的財産保護における損害賠償制度の経済分析)としてまとめ、知的財産研究所10周年記念論文集(『21世紀における知的財産の展望』)の中で発表した。本論では、知的財産権の権利者の逸失利益はどのように定義され推定されるべきかを経済分析の観点から明らかにするとともに、知的財産権侵害にかかる日本の損害賠償制度の特徴を米国の制度と比較しながら明らかにし、今後の損害賠償制度の在り方を提言している。第三に、知的財産権が各産業のイノヴェーションに果たす役割を検討するために、ソフトウエア、ゲーム、医薬品、ビジネス方法特許などの分野において、産業界及び特許庁の実務家を招いた研究会を行った。
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Research Products
(2 results)