2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630038
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
西村 可明 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60017671)
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Keywords | 外国直接投資 / ハンガリー経済 / ロシア経済 / ブルガリア経済 / FDI / 経済特別区 / グリーンフィールド投資 / 私有化 |
Research Abstract |
本年度は、昨年に引き続き、中・東欧諸国、特にハンガリーにおける外国直接投資(FDI)の状況を検討した。とくに現地において、ハンガリー経済省の分厚い資料『東欧周辺諸国との比較におけるハンガリーへの外国直接投資の導入能力の変化』と、『ハンガリーにおける外国直接投資統計集1996年〜97年』とを入手することが出来た。これらは本研究にとって実に貴重な資料である。また、ハンガリー科学アカデミー経済研究所のM.サーニィ博士や、ブダペスト技術・経済大学のA.テレク教授等との意見交換が大変有益であった。さらに同研究所のE.オジュヴァルド研究員を招いて、市場経済化途上のハンガリーにおけるFDIと日本・アジアにおけるFDIの動向とを比較検討した。最後に、ロシア経済省のV.ヴォルコフ博士から対口FDIの動向を、ロシア経済状況全体との関連で説明を受けた。これらは、移行国におけるFDIの問題を考察する上で、極めて有意義であった。特に、FDIによって貿易収支の赤字問題を緩和してきたハンガリーが、私有化の完了に伴う外資流入の減少や、利潤・サービス料などの本国送金の増加のために、困難が生じつつあり、外資導入成功国の典型例としてのハンガリーは、この点で転換点にさしかかりつつある事が判明した。他方で、ハンガリーの成功理由の一つとして、関税免除ゾーンに多数企業を誘致し、これが製造業輸出の40%以上を占めるに至ったことが明らかになり、そうした政策的措置が、その他の経済環境と並んで重要であることも明らかになった。本年度注目したもう一つ国、ブルガリアは、外資導入があまり進まず、マクロ経済状況とミクロ構造問題の両面から、ロシア同様に、問題を解明する必要が感じられた。
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