1999 Fiscal Year Annual Research Report
APEC地域の貿易・直接投資自由化と構造・雇用調整-CGEモデル分析-
Project/Area Number |
11630041
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
利 博友 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (40283460)
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Keywords | APEC / 貿易自由化 / 直接投資 / CGEモデル |
Research Abstract |
本年度は、(1)APEC貿易自由化のマクロ効果と産業部門別効果についての動学的多部門一般均衡(CGE)分析、(2)直接投資のデータをモデルに組み込んだ日米2カ国のCGEモデルの構築と貿易・直接投資自由化の分析を行った。 Lee et al.(1999),Discussion Paper No.103(神戸大学経済経営研究所)では、APEC貿易自由化が2020年までに先進国と途上国メンバーの実質GDPをそれぞれ422億USドルと830億USドル増加させるという結果を得た。産業部門別では、各国で生産が増加する産業と減少する産業の違いが顕著になるが、日本では一般・電気機械、輸送機械、鉄鋼・金属製品などの資本集約的産業の生産が増加し、労働集約的な農産物、加工食品の生産が減少すると計測された。中国およびアセアン諸国では衣類などの軽工業だけでなく、電気機械産業の生産量も増加すると計測された。なお、この論文は、1999年12月にソウル国立大学で開催されたアジア経済国際会議で発表した。 直接投資自由化のインパクトを分析するためには、世界直接投資マトリックスの推計が必要であるので、現在、各国の直接投資のデータを産業別および相手国別で収集している。Lee and Roland-Holst(1999)では、既に収集した日本と米国の直接投資のデータをベースに日米2カ国のCGEモデルを構築し、2国間の貿易自由化のシミュレーションを行ったが、資本移動性の向上により貿易自由化の利益がより大きくなるという結果が得られた。 来年度は、世界直接投資マトリックスのデータを18地域15部門のCGEモデルに組み込み、APEC貿易・直接投資自由化に伴う各地域の構造変化と各産業の雇用調整の定量分析を行う予定である。
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