2000 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカの農村貧困軽減に向けた日本のODAの可能性:青年海外協力隊に関する研究
Project/Area Number |
11630046
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
PIYADASA R. 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90221697)
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Keywords | ODA / 青年海外協力隊 / スリランカ / 農村開発 / 貧困 / 農民 / プランテーション / 紅茶 |
Research Abstract |
過去10年間のスリランカと日本の経済関係を考察すると、スリランカにとって日本は、輸出では第3位、輸入では第1位を占める重要な貿易相手国だけでなく、海外経済協力、特に2カ国間援助ではトップドナーになっている。日本の経済不慌およびスリランカの民族紛争にもかかわらず常に日本の援助はスリランカの全援助額の半分以上を占めている。本研究課題である青年海外協力隊の活動においても、同国の政治的不安定や民族紛争とは関係なく増加し、現在(2001年)でも60人に上る日本の若いの青年が、同国の農村社会やプランテーション部門の人々と一緒に生活しながら様々な職業指導、コミュニティー開発などが行われている。 昨年同課題について実施した現地調査によると、多くの隊員がそれぞれの地域社会の中に入り込み、同社会の一員として社会の発展に必要な技術ノウハウを教えている。特に注目に値することは、農村の経済社会は、村民自らの努力によって活性化され、発展していくものだと指導していることである。昨年から、農村だけでなく紅茶やゴム等のプランテーション部門、特に、イギリスの植民地時代に南インドから提供されたタミル人労働者共同組合のような組織作りのことや、日常生活の改善のために必要な指導等が行われている。 しかし、「隊員」、「隊員のカウントパート」、と「農村社会の人々」に関する現地調査の結果によると、下記のことが主な問題となっている。(a)地域社会が期待する指導力を十分に持つ隊員が不十分であること;(b)隊員の社会的経験が浅いため、教えるよりも現地社会から習得しなければならないことが非常に多いこと;(c)カウントパートと隊員の間に相互理解があまりないことによって、両者の間で矛盾が多いこと;(d)隊員の活動期間が短いためにまとまった活動ができないこと;(e)資金援助は実施せず、指導だけを行なう隊員の活動に対して、村民の興味または協力を得ることが困難であること。このような問題をできるだけ避ける方法や隊員の効果的役割について、両国の責任および協力を明らかにしていくことが必要である。したがって、過去20年間、同国で隊員として活動してきた500人以上にのぼる隊員に対して、彼らの同国での活動に関するアンケート調査をしながら、スリランカの農村開発における青年海外協力隊の貢献がどの程度の可能性を発揮し得るのかについて検討したい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] ラタナーヤカ・ピヤダーサ: "Perspectives of Japan's ODA Relations with Sri Lanka: An overview of Motivations of the Donor and Pevcoptions of Recipient"佐賀大学経済論集. 3・4. 1-37 (2001)
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[Publications] ラタナーヤカ・ピヤダーサ: "Japanese official Development Assistance ot Sri Lanka : An analysis of Perceptions of Recipient"佐賀大学経済論集. 5・6(予定). (2001)