2000 Fiscal Year Annual Research Report
水産加工業における産地の構造変動と地域産業政策に関する研究
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11630050
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
小路 行彦 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (80171023)
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Keywords | 現業官庁 / 水産加工業 / 政策遂行機能 / 機構改革 / 協同組合 / 参事 / 員外理事 / ブランド |
Research Abstract |
政策の機能、効果を高めていく上で、国が政策官庁で地方自治体は現業官庁に止まっているところに課題があると論評されて久しい。地方自治体の政策立案に対する姿勢、関与はどうなっているのであろうか。今年度は、この当初の研究実施計画に基づいて、水産加工の主要産地を含む、産地33漁港を抱えた自治体に対して、水産業、水産加工業が厳しい経営環境下にある中で、どのような機構改革と政策遂行機能の向上を図る施策をとっているか等を中心とした調査を行った。 機構改革では、この10年間の改革の方向は、経済部や産業部などに水産課を組み込み、産業横断的な改革を行い、産業間の横の連携を図る改革動向が明らかになった。これを政策遂行能力の向上策でもあると当事者は説明している。しかし併せて行った人事政策の調査では、この機構改革に対応した具体策をとっている兆候は確認できなかった。系統的な配置政策によって、政策遂行能力を向上させていく方針は広く確認できなかった。企画課との人事交流などは一つの有力策であるが、これを行っているところは少数の自治体に止まった。また、形式化された中長期計画とは別に、水産振興の政策立案を行っている自治体も一部に留まった。しかし、初めて作成したという所もあり、新しい胎動を確認したともいえる結果であった。 さらに、政策の受け皿でもある協同組合の実態調査を行った。聞き取り調査を継続して行うと同時に、全国144の協同組合に対してアンケート調査を実施して、組合の機能、組合員の事業規模の格差、組合を支える職員、参事、員外理事の現状、産地加工業と行政との連携状況などを調査した。協同組合の停滞の理由は様々論じられているが、出資資割合では大きな組合員間格差が生じていること、組合員の事業規模格差も顕著であることがこの基本的な背景にあると考えられる。また、協同組合は競争主体が協同するという難しい課題を抱えた組織であるが、ブランド育成などの共通の利害を共有することができると、この難しい課題が前進する事例などの発見があった。
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