1999 Fiscal Year Annual Research Report
在宅の高齢障害者に対するホームヘルプ労働についての研究
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11630064
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 卓利 立命館大学, 経済学部, 教授 (60178746)
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Keywords | ホームヘルプ労働 / ホームヘルパー / 介護保険 |
Research Abstract |
6人のホームヘルパーから在宅の高齢障害者に対するホームヘルプ労働について聴き取りを行なった。聴き取りは、ホームヘルパーの事例研究会に参加して、その報告を聞き、質問をし、さらに他の参加者からの意見等をまとめるという仕方でなされた。ホームヘルパーが、自身の労働を語り文章化することが、彼女(彼)らの労働のなかに潜む「暗黙知」を表現することになると考えられるが、ホームヘルパーだけでこの作業をすることは、困難であり、研究者との共同作業を必要とする。 結論を先に述べる。聴き取りの結果、明らかになったことは、ホームヘルプ労働は、その総合的な性格に特徴があり、労働成果が「非定型的」であり、「非定量的」であること。またその成果については短期的に評価することは困難である。したがって、介護保険に見られる身体介護重視の評価は、一面的であり家事援助、相談・助言について過少評価であると言える。 在宅の高齢障害者への身体介護、家事援助、相談・助言という生活全般にわたる支援は、要介護者・要支援者の生きる意欲やコミュニケーション能力を高め、健康の回復や病状の安定に大きく寄与している。しかし、ホームヘルパーの業務を、身体介護を中心に置き、身体介護と家事援助、相談・助言を切り離し、時間・点数によって評価する、介護保険の方法は、ホームヘルプ労働の総合性を無視するものであり、在宅の高齢障害者の生活支援を進めるうえで大きな問題を孕んでいると言えよう。
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