1999 Fiscal Year Annual Research Report
公益事業におけるネットワーク共同利用に関する動学分析
Project/Area Number |
11630068
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
水野 敬三 関西学院大学, 商学部, 助教授 (40229703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 裕司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70222924)
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Keywords | 部分自由化 / ネットワーク設備投資 / 投資費用の回収 / 既存事業体の垂直構造 / 参入阻止行動 |
Research Abstract |
本研究は、電力、電気通信、都市ガス等の公益事業にみられるネットワーク設備の最適利用に関する研究であり、特に長期的・動学的な視点を重視することを特徴としている。このテーマのもとで本年度は、次の二つの論文を作成した。 (1)「部分自由化のもとでの回収不能費用の徴収」:この研究は特に電力産業を念頭に置き、現在の部分自由化という経済環境のもとにおいて、既存事業者が過去に実施したネットワーク設備投資の投資費用回収を認めることの是非を模型分析により考察した。模型分析より、二つの主要な結論が得られた。まず、既存事業者に過去のネットワーク設備投資費用の徴収を認めることは最適な資源配分の達成を妨げることが示される。しかし、部分規制市場における規制料金が低い水準に設定され、かつ既存事業者の費用構造において競争市場財の増分費用の割合が小さいときには、競争市場でのクリームスキミング(非効率参入)の阻止を通じて設備投資費用の徴収が経済厚生の上昇に貢献することがわかった。 (2)「Access Regulation and Strategic Entry Deterrence:Vertical Separation vs. Vertical Integration」:本研究は、小売市場におけるネットワーク設備の所有者と非所有者の間の競争を前提として、接続料金規制の役割と既存事業体の垂直分離の是非を模型分析により考察している。その際、ネットワーク設備所有者である既存事業者の参入阻止の誘因、ネットワーク設備の運転費用に関する情報の非対称性、既存事業者の設備投資の誘因を取り入れていることが模型の特徴となっている。現在、研究途上であり、数値計算を行っている段階である。
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