1999 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの経済発展における家計行動と金融制度の役割
Project/Area Number |
11630072
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Research Institution | Nagoya Bunri University |
Principal Investigator |
関川 靖 名古屋文理大学, 情報文化学部, 助教授 (70249308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 裕之 名古屋文理短期大学, 経営学科, 講師 (10269673)
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Keywords | 金融深化 / 情報の非対称性 / 家計貯蓄 / 未組織金融 / 東南アジア / 家計行動 / 消費構造 / 経済発展 |
Research Abstract |
本研究の目的は、東南アジア諸国の経済発展における金融制度の発達と家計行動との関わりを明らかにすることである。より具体的には,経済発展における金融深化と家計行動との関係性に、金融、貿易,所得分配といった複数の局面から検討を加えることである。 本年度は 国内において入手可能な関連資料を整理検討することによって基礎的な分析を行い、主に以下のような分析結果を得た。まず、金融面に関しては、マッキノン=ショウ・モデルをはじめとする金融深化と経済成長に関する先行研究の評価とその東南アジア地域への適用、ならびに金融制度に関する実証的な検討の結果、第一に、より効率的な資金循環を実現するためには、さらなる家計貯蓄の増大と金融深化が必要であること、第二に、日本など先進諸国の経験から、同地域の金融環境の整備と金融自由化(国際化)の順序と方法には、いくつかの問題点を指摘でき、より持続的な経済成長のためには、より安定的で追加的な金融自由化策が必要であること、などが明らかになった。また、貿易面に関しては、同地域各国の統計的分析から、経済成長に伴う国内消費構造の高度化が耐久消費財普及率、消費的輸入の増大といった面で顕著であること、またそうした消費構造の高度化が将来的に同地域経済各国の内需主導型経済への転換の可能性を多分に示唆するものであることなどが明らかになった。以上の検討過程で、これまで開発政策において見落とされがちだった家計行動の経済発展における役割の重要性についても明らかになった これらの検討をさらに精緻化するためには、より詳細な関連データの入手・解析、ならびに東南アジア的特徴である大規模な未組織金融の存在や著しい所得格差の消費経済への影響などに関する実態把握等が不可欠である。これらについては国内では入手不可能なものも多く含まれることから、次年度では現地調査を行い、さらに検討を進めていきたい。
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Research Products
(2 results)