2000 Fiscal Year Annual Research Report
民国期の栄家企業集団(製粉・紡織業)についての総合的研究
Project/Area Number |
11630075
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中井 英基 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (70068758)
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Keywords | 清末民国期 / 企業家活動 / 紡績業 / 製粉業 / 無限公司 |
Research Abstract |
本研究の課題中の栄家企業集団とは,栄宗敬・徳生兄弟が清末民国期に発展させた茂新・福新・申新の三系列計21社のことである。本研究は,三ヵ年計画でこの企業集団と栄家兄弟の企業者活動を解明しつつ,旧中国の経済・経営上の重要問題を検討し,併せて現代の中国経済に対する含意を探り出そうとする研究である。 第二年度(平成12年度)の研究作業の要点と得られた成果は,以下の通りである。(a)初年度末(3月)に訪問した上海社会科学院経済研究所に,8月と11月の二回重ねて訪問,栄家企業研究の第一人者・黄漢民先生とお会いし,同氏から資料の種類と所在・資料の読み方・研究動向などのご指導を頂いた。(b)また同氏より教示された最大の資料収蔵機関・上海市档案館に通い,関連資料の調査と収集を行なった。(c)8月の訪中時,栄家兄弟の故郷の江蘇省無錫を訪問,関係の施設・工場を見学,また11月には栄家兄弟と親しかった張謇の故郷南通にも調査を行ない,資料の収集に努めた。(d)それら作業に基づき,「清末民国初の栄氏企業家たちと無錫・振新紗廠」と題する研究論文を執筆し,「栄家企業」経営の原点ともいうべき問題点を探り当てた。すなわち,(1)同族の栄氏には栄家兄弟よりも先輩の企業家・栄瑞馨がおり,茂新麺粉廠(1900年設立,資本3万元)・振新紗廠(1905年設立,資本金30万元)の出資面における中心的存在であったが,両廠の経営面においてはむしろ弟の栄徳生が重要な役割を果していたこと,(2)但し,その同族企業家との対立が続いたために,結局栄家兄弟は1915年振新から離れ,独自に申新紗廠を創設したこと,(3)その際に栄家兄弟は経営権を掌握するために「無限公司」(合名会社)という経営形態を採用したこと,などである。
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Research Products
(1 results)